はじめに:なぜ今、ISに生成AIなのか
月1,500件架電して、アポ率1.8%。取れるアポは月27件。
数字だけ見ればそこまで悪くない。でも、有効商談として残るのはそのうち20件。FSからは「もっと筋のいいアポをくれ」と言われる。リスト精査に丸1日。スクリプト改善は「なんとなく」。月次振り返りは「来月も頑張ります」で終わる。
かつての僕はそうだった。
成果が出ない原因を特定できないまま、とにかく架電数で補おうとしていた。
今は違う。IS業務の4〜5割に生成AI(Claude、Gemini、NotebookLM等)を組み込んでいる。
結果、アポ率は1.8%→4.0%。2.2倍になった。
条件を明記する。比較期間は2025年9月 vs 10月。対象はSaaS・IT系BtoB企業向けBDR。月間架電数は約1,500件で同水準。翌月以降も同水準を維持。有効商談(FS側が「受注可能性あり」と判定した商談)は月20件→50件。
CRM入力:5分→1分。FSへの引継ぎレポート:20分→3分。
この記事を公開する理由は、業界全体で「まだ手作業と気合に頼った営業が多すぎる」と感じているからだ。リスト精査、スクリプト設計、振り返り分析、レポート作成——こういった領域は生成AIで十分に回せる。この使い方は遅かれ早かれ全IS組織のスタンダードになる。だったら、ノウハウは早く共有した方がいい。
以下、実際に現場で効果が出た10の実務を、前編・中編・後編に分けて公開する。
【前編:戦略設計編】
ISの"設計ミス"をAIで防ぐ
ISは、設計がうまくいかないと何百件架電しても空振りが続く。過去にそれを痛いほど経験している。AIは、その「設計」の壁打ち相手として使う。
◆(1)ターゲットセグメントの整理と除外条件の定義
【課題】
ターゲット企業の選定を毎回人力で判断していた。「この業種は本当に対象か」「この規模感はどうか」を繰り返して、1回の整理に丸1日かかることもあった。攻めるべきではない企業に架電してしまい、空振り率が高止まりしていた。
【なぜ、整理と定義から着手するのか】
ISの成果は「誰に電話するか」で大半が決まる。架電スキルを磨くより先に、「誰に電話しないか」を定義する方がインパクトが大きい。にもかかわらず、手作業の工数がネックで後回しにれている組織が非常に多い。
【活用方法】
自社プロダクトの導入実績とペルソナ情報を渡して、以下のような指示を出す。
プロンプト例
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以下の情報をもとに、ターゲット企業の特徴を「業種・規模・課題」の3軸で整理してください。また、"絶対に攻めてはいけない企業"の特徴もリストアップしてください。
【自社サービス概要】 ・(例:クラウド型の勤怠管理SaaS。中小企業向け。月額3万〜。導入社数は約200社、IT・サービス業が中心)
【導入実績のある企業の特徴】 ・(例:従業員30〜150名の成長期企業。バックオフィスのDXが進んでおらず、紙やExcelでの管理からの脱却を検討中。年商3億〜20億)
【想定ペルソナ】 ・(例:管理部門の責任者 or 経営者。35〜50歳。労務管理の効率化に課題感があるが、ツール選定の優先度が上がっていない)
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ポイントは、除外条件を先に定義すること。「攻めるべき企業」より「攻めてはいけない企業」を先に決める方が、実務上のインパクトが大きい。ここが曖昧なままリストを作ると、後工程(精査・リサーチ・架電)の全てが歪む。
【効果】
セグメント整理の工数が丸1日から約1時間に短縮。除外条件を事前に定義したことで架電の空振り率が目に見えて下がった。
以下のように定義を明確にし、生成AI側で判定をつけさせることも可能。
◆(2)競合の訴求軸マッピングと差別化設計
【課題】
「なぜうちに頼む必要があるの?」という壁にぶつかることが多かった。競合との違いを言語化できておらず、トークの差別化軸が薄い。競合調査を人力でやると半日〜1日はかかり、業界全体の訴求傾向を俯瞰する余裕がなかった。
【なぜ、競合との差別化に時間を使うべきなのか】
ISのトークで最も多い失敗は「機能説明」から入ってしまうことだ。顧客が聞きたいのは「他と何が違うのか」であり、「何ができるか」ではない。まず競合が「何を言っているか」を俯瞰して、「誰も言っていないこと」を見つける必要がある。
【活用方法】
競合のサービスページを3〜5社分渡して、以下のような指示を出す。
プロンプト例
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以下は競合他社のサービスページのテキストです。 以下の項目を表形式で整理してください。
各社の主要訴求軸(どんな価値を打ち出しているか)
訴求している顧客層・ターゲット
価格感・契約形態の特徴
まだ誰も打ち出していない"空いている訴求軸"の仮説
【競合A】 ・(サービスページのテキストを貼り付け)
【競合B】 ・(サービスページのテキストを貼り付け)
【競合C】 ・(サービスページのテキストを貼り付け)
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【実際の発見例】
SaaS系BtoB企業5社の営業支援サービスを比較した際、各社とも「実績数」や「対応範囲の広さ」を訴求している一方で、「導入フェーズごとに支援内容の比率を変える」という打ち出し方をしている会社がほぼいないと判明。それがそのままISトークでの差別化ポイントになった。
【効果】
最大の収穫は、「空いている訴求軸」の仮説が自動で出る点。「他社と何が違うの?」への回答が感覚ではなく構造で整理された。競合調査自体も半日〜1日から約30分に短縮。
以下のレベルでの整理は可能。ただ、実際ISで電話する中で顧客からリアルな1次情報を聞けることもあり、それは比較表に追加反映できるとよりベター。
◆(3)失注パターンの構造化とスクリプトへの反映
【課題】
失注が続いていても「タイミングが悪かった」「相性の問題」で片付けてしまっていた。失注データを体系的に分析する習慣がなく、同じパターンの失注を繰り返していた。
【なぜ、失注分析がISの領域なのか】
失注はFSの問題だと思われがちだが、ISの段階で防げた失注は少なくない。「予算未確認のまま商談化」「決裁者に繋がっていない」はISのヒアリング設計で防げる。失注データを構造化して「ISで防げたものはどれか」を特定するのがこの作業の本質だ。
【活用方法】
直近半年の失注案件データを全部渡して、以下のような指示を出す。
プロンプト例
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以下は直近半年分の失注案件データです。 以下の観点で分析してください。
失注理由のパターン分類(カテゴリ別の件数・割合)
ISの段階で防げた可能性がある失注の特定
最も多い失注パターンに対して、ISスクリプトに組み込むべき対策
【失注データ】 ・商談日: ・失注理由(担当者コメント): ・企業規模: ・業種: ・ISでのBANT確認状況: (以下、CSVデータを貼り付け)
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【実際の活用例】
IT系SaaS企業向けの案件で実施したところ、失注の35%が「予算未確認のまま商談化」だった。この発見を受けて、BDRコールで業種業態(利益率)×従業員数×年商から許容投資額の仮説を立て、自然な流れでヒアリングするスクリプトを設計した。AIには「許容投資額の仮説出し」と「自然なヒアリングへの落とし込み」の両方を担当させた。
活用プロンプト例(予算ヒアリング設計)
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以下の条件の企業に対して、電話で「予算感」を自然に確認するためのヒアリングトークを設計してください。
【企業プロフィール】 ・業種:IT系SaaS企業 ・従業員数:80名 ・年商:推定5億〜10億円
条件: ・営業感が出ないよう、あくまで課題確認の流れで聞く ・「予算はありますか?」と直接聞かない ・担当者が「そういえば…」と自然に話してくれる流れにする
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【効果】
スクリプト改訂後、「予算未確認のまま商談化」パターンの失注が減少。感覚的だった失注分析が定量ベースになり、PDCAの精度と速度が大幅に上がった。
【前編まとめ】
戦略設計にAIを使うときの鉄則は、「正解を教えて」ではなく「この設計のどこがおかしいか教えて」と聞くことだ。AIの提案はあくまで仮説。現場で50件試して、初めて「うちに効くかどうか」が分かる。また、日本特有の商慣習(稟議・合議制・対面重視)はAIが苦手な領域なので、実務経験者との壁打ちは必ず組み合わせてほしい。
【中編:リスト&実行編】
リスト作成は、多くの組織で一番手を抜かれている工程だ。にもかかわらず、ここの精度が架電効率の大半を左右する。
◆(4)ターゲットリストの精査と企業別カスタムリサーチ
【課題】
企業DBから取得した生リストは、「宝の山」と「時間の無駄」が混在している状態。手動で精査すると500件で丸1日以上かかり、精査者の主観や疲労で判断がブレる。さらに架電前の個別リサーチも1社あたり15分以上。50社架電するチームではリサーチだけで12時間以上の工数になる。
【なぜ、リスト精査こそAIの最適領域なのか】
リスト精査は「条件に対して一件ずつ照合する」作業の繰り返し。人間がやるとブレるが、AIは基準が一定だ。しかもWebの公開情報を組み合わせれば、「この会社、直近でIS人材を募集してます。課題意識が高い可能性あり」のような補足コメントまで付けてくれる。
【活用方法】
前編の(1)で定義したセグメント条件と除外条件を、そのままリスト精査の判定基準に落とし込む。(1)が「誰に電話しないかの設計図」なら、ここはその設計図を使った「実行」だ。
生リスト(500〜1,000件)のCSVをそのままアップロードして精査する。大量データの場合はGAS×生成AI APIでエージェントを構築すると処理しやすい。
精査エージェントへの指示例
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以下のCSVの各企業に対して、下記項目を判定して出力してください。
【出力項目】
総合判定(A:最優先 / B:架電対象 / C:除外)
NG要因(あれば記載)
懸念要因・案件化余地(要確認事項があれば記載)
担当者精査(リストに実名がある場合、その人がキーマンである確率と、低い場合の代替候補)
架電NGリストとの照合
想定される課題感TOP3
参考ソース(採用ページ・ニュース等のURL)
【判定基準】 A(最優先):従業員50〜300名 / SaaS・IT・広告系 / 直近3ヶ月以内に営業関連の採用有 B(架電対象):上記条件を部分的に満たす C(除外):公共機関・非営利・製造業BtoC・従業員5名以下
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精査の後は、A判定企業に対して個別リサーチをかける。
プロンプト例(架電前リサーチ)
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以下は架電予定企業の情報です。下記を出力してください。
この会社が今抱えていそうな営業課題(仮説3つ)
各仮説に対して、初回架電で使える"刺さりそうな一言"
最も可能性が高い課題パターン
【企業情報】 ・企業名:〇〇株式会社 ・業種:SaaS(HR系) ・従業員数:120名 ・直近のニュース:(採用ページや決算情報等) ・採用状況:営業職を積極採用中
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【精度を上げるコツ】
自社商材が解決できる課題のパターンをあらかじめプロジェクト機能(カスタム指示)に登録しておくと、「この企業はパターンAの可能性が60%」のように確度付きで出力される。
ただし重要な前提がある。AIにはナレッジのカットオフ(学習データの締め切り日)があるため、最新の人事情報や組織体制はWeb検索を必ず併用すること。AIの出力を鵜呑みにせず、公開情報とのクロスチェックが必須だ。
実際に失敗した例がある。AIが「この企業の営業部長は〇〇氏」と出力したが、半年前に異動済みだった。その情報のまま架電して「もういませんけど…」と言われ、リサーチの甘さが露呈した。以来、役職者情報は必ずLinkedInや企業サイトで裏取りするルールにしている。AIは万能ではない。信頼しすぎると、かえって信用を失う。
【効果】
500件のリスト精査が丸1日以上から約1〜2時間に。1社あたりのリサーチも15分から3分。属人的な判断が基準ベースに統一され、「架電すべき企業」への集中度が上がった。
◆(5)休眠リードの掘り起こし
【課題】
CRMに「塩漬けリード」が大量に眠っていた。数千件規模の休眠リストが積み上がっているのに、手作業で再仕分けする工数がなく放置されていた。「なぜ今連絡するのか」の切り口も思いつかず、再アプローチの質が低かった。
【活用方法】
CRMから「半年以上接点なし」のリードをCSVで出力し、直近5回分の架電ログを同一レコードに格納した上で渡す。この「ログを同一レコードに格納」が肝で、過去の断り理由と現在の状況変化を照合させるためだ。
プロンプト例
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以下は休眠リードの一覧です(各リードに直近5回分の架電ログを添付)。 以下の3カテゴリに分類して、再アプローチ対象には最適な切り口も提案してください。
【分類カテゴリ】 ・再アプローチ余地あり(切り口の提案と共に) ・時期改め(半年後以降にアプローチ) ・完全除外(理由も記載)
【分類の観点】 ・前回の断り理由と現在の企業状況の変化 ・採用状況・資金調達・決算期との照合 ・失注からの時間経過と市場環境の変化
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【実際の成果】
従業員50〜200名規模のIT企業を中心とする支援先で、5,000件の塩漬けリードを再仕分け。再アプローチ対象に分類されたのは約800件。そこから月間のアポ供給が2件→20件になったケースがあった。
典型的な成功パターンは、前回「予算がない」で失注した企業が今期に入って営業職の採用を強化していたケース。「御社の採用状況を拝見して、営業組織の拡大期に入られたのではと感じました」という切り口で再アプローチが成功した。
【効果】
新規リード獲得にコストをかけずに、既存資産からアポが掘り起こせた。5,000件の再仕分けは数週間→数時間で完了。「休眠リード=優先度低」という認識がチーム内で変わったのが、数字以上の成果だった。
◆(6)業界ニュースの「架電フック化」
【課題】
業界ニュースや法改正情報は毎日流れてくるが、「読んで終わり」になっていた。「なぜ今うちに電話してきたの?」に明確に答えられるISはほとんどいない。
【活用方法】
業界ニュースを渡して、ターゲット企業への影響と架電フックへの変換を指示する。週次または日次の定期タスクとして組み込むのが理想。
プロンプト例
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以下のニュース記事を読んで、以下を出力してください。
このニュースがターゲット企業(SaaS・HR系・従業員100〜500名)の営業組織に与える影響(具体的に3つ)
各影響を「架電時のフック」に変換(顧客が「そういえば…」と反応するような切り口)
このフックを使うべき最適な架電タイミング(ニュース発生から何日以内か)
【ニュース内容】 (ニュース記事のテキストを貼り付け)
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【実際の使い方】
たとえば「大手SIerがBPaaS領域に参入」というニュースが出たとき、AIに変換させたフックは「御社の競合が外部リソースの活用を本格化し始めています。御社は営業体制の拡張をどうお考えですか?」だった。「確かに気になっていた」と反応された。
「Why you, Why now」——なぜ御社に、なぜ今電話しているのか。これを能動的に作りに行けるかどうかで、初回接触の質がまったく変わる。
【中編まとめ】
リスト精査はAIの最も得意な領域だ。「人力でやる理由」はほぼない。休眠リードは「捨て」ではなく「未精査の資産」であり、AIで再仕分けするだけで眠った商談が掘り起こせる。「Why now」の根拠もAIで毎週自動生成できる。これを属人的な努力ではなく、組織の仕組みにすることが重要だ。
【後編:分析・改善・仕組み化編】
ISで最も属人化しやすい領域が2つある。「トーク」と「振り返り」だ。トップセールスの頭の中にしかない勝ちパターン、マネージャーの経験則でしか回っていないPDCA——どちらもAIで可視化して、組織の資産に変えられる。
◆(7)トークスクリプトのA/B設計と検証サイクル
【課題】
スクリプトを「感覚」と「経験」だけで作っていた。アポ率が下がっても「景気が悪い」で片付け、スクリプト自体の検証がなかった。改善しても1パターンしか試せないため、何が効いたのかが分からない。
A/Bテストをやっている組織は少ない。理由は「2パターン作るのが面倒」「どこを変えるべきか分からない」の2つだ。AIは「パターンの生成」と「検証設計」を同時にやってくれる。
【活用方法】
現行スクリプトの情報と、検証したい変数(冒頭の切り出し方、ヒアリングの順序など)を明示して、以下のように指示する。
プロンプト例
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以下の情報をもとに、インサイドセールスのトークスクリプトをA/B 2パターン作成してください。
【スクリプトの構成フェーズ】
1.受付突破(10秒以内)
2.担当者接触(開口一番の一言)
3.課題ヒアリング(2〜3分)
4.アポイント打診(30秒)
【パターンの方向性】 ・パターンA:課題指摘型(「〜でお困りではないですか?」スタート) ・パターンB:事例共有型(「〜のような会社と最近よくお話しているのですが」スタート)
【自社サービス情報】 (サービス概要を貼り付け)
【ターゲットペルソナ】 (ペルソナ定義を貼り付け)
※各50件ずつテストして接触率・アポ率を比較するための検証設計も一緒に出してください。
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【超重要な注意点】
AIが生成したスクリプトをそのまま読むのは絶対NGだ。「スクリプト読んどるな」とバレる。必ず以下の工程を踏むこと。
- AIのスクリプトを読み込んで、自分が気持ちを込めやすい言葉に変換する
- フィラー(「えっと」「そうですよね」「実は」など)や間の取り方を自然に入れる
- 自分で声に出して読んで、違和感がある箇所を修正する
テレアポは心を込めて話すものだ。でも心を込めるにも「何が相手の心に届いているのか」をデータで把握しないと始まらない。AIはデータ分析を担当し、心を込めるのは人間の仕事だ。
【効果】
一番の変化は、「なんとなく感覚で架電」から「仮説検証サイクル」にチームの動き方が変わったこと。A/Bテストの検証設計がスクリプトとセットで出るので、「何を検証するか」で迷う時間がなくなった。スクリプト作成自体も数時間〜数日から30分に短縮。
◆(8)FSへの引継ぎレポート自動生成
【課題】
通話後の引継ぎレポートに1件あたり20分かかっていた。FSが商談前に見たい情報の網羅性が低く、「ISからの引継ぎが薄い」という摩擦が発生していた。
ISの仕事は「アポを取ること」ではなく「FSが受注できるアポをFSが受注しやすく料理して渡すこと」だ。アポCPAを考えたら、引継ぎレポートに手を抜く理由はない。
【活用方法】
通話の文字起こしを流し込んで、以下のフォーマットで引継ぎレポートを生成する。
プロンプト例
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以下は架電の文字起こしと企業情報です。 FSが商談前に読むための「引継ぎレポート」を以下のフォーマットで作成してください。
【レポートフォーマット】
企業概要(業種・規模・事業内容)
担当者情報(役職・想定される立場・性格の所感)
ヒアリング内容サマリー
顧客が強く反応したポイント・使ったキーワード
懸念点・商談でのリスク仮説
推奨する商談アジェンダ
絶対に外してはいけないポイント
【文字起こし】 (通話の文字起こしを貼り付け)
【企業情報】 (企業DBの情報・採用ページ・ニュースを貼り付け)
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AIでレポートの骨格を3分で作り、浮いた17分を「どんな担当者で、話のどこでトーンが上がったか」「先方が繰り返し強調していたキーワード」——そういう機微の記述に充てる。ここが商談の勝率を分ける。
【効果】
FSから「このアポ、情報が厚い」と言われるようになった。「良いアポかどうか」の共通認識がIS/FS間で生まれ、引継ぎの摩擦が明らかに減った。レポート作成は1件20分から3分に。
◆(9)架電データの多軸分析とKPI設計
【課題】
月次レポートを作るのに丸1日。「今月のアポ率は〇%でした」で終わり、「なぜその数字になったのか」の原因分析ができていない。さらに「架電数」をKPIにしていたせいで、現場が「量で補う」行動に陥り疲弊していた。
データを見れば改善ポイントは分かる。でもKPIが「架電数」のままだと現場の行動は変わらない。分析結果をKPIの再設計にまで繋げて、初めてチームの行動が変わる。
【活用方法】
月間の架電データ(曜日・時間帯・業種・担当者・接触率・アポ率・通話時間)をCSVで渡す。
プロンプト例(多軸分析)
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以下は当月の架電データです。以下の分析を実施してください。
1.曜日×時間帯の接触率ヒートマップ(最も接触率が高い時間帯を特定)
2.業種別アポ率ランキング(上位3業種と下位3業種の差の仮説も)
3.通話時間とアポ率の相関(アポが取れている通話の平均時間は何分か)
4.担当者別の強み弱みパターン
【出力形式】 ・各分析は「事実→仮説→アクション提案」のセットで出力 ・特に改善インパクトが高い発見を3つ、優先度付きでまとめる
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さらに、KPI設計のレビューも同時に依頼する。
プロンプト例(KPI設計レビュー)
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以下は現状のIS KPIの定義と直近3ヶ月の実績値です。以下の観点でレビューしてください。
1.このKPIツリーに矛盾・抜け漏れはないか
2.追うと現場が疲弊する/行動を歪める指標はないか(具体的に指摘)
3.「数」より「質」を評価するために追加すべき指標の提案
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【実際の発見例】
「水曜10時の接触率が最も高い」「通話4分以上でアポ率が急上昇→4分未満で切られている=フック不足」。KPIレビューでは「架電数KPIは"質の低い架電を量で補う"行動を生む。有効接触数に切り替えるべき」。こういった発見が月次データを渡すだけで出てくる。
【効果】
KPIの歪みが可視化され、「架電数」から「有効接触数」に切り替えたことで、現場が「質の高い架電」を意識するようになった。データに基づいた個別コーチングも可能に。月次レポートの作成工数は丸1日から約1時間に。
◆(10)月次振り返りとネクストアクションの構造化
(9)がデータから「何が起きているか」を特定する作業だとすれば、(10)は「来月何をするか」をチームで合意する作業だ。(9)のインプットは架電データのCSVだが、(10)のインプットはそこに「チームの声」と「市場の変化」を加える。数字だけでは見えない情報を足すことで、アクションの解像度が変わる。
【課題】
月末の振り返りが「今月は頑張りました。来月も頑張ります」で終わっていた。(9)のようなデータ分析を導入しても、分析結果がスプレッドシートに残るだけで、翌月の具体的な行動変容に繋がっていなかった。
【活用方法】
当月のKPIデータ+定性情報をまとめて渡す。
プロンプト例
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以下は当月のIS活動の振り返りデータです。以下の形式で分析してください。
1.未達KPIの原因仮説(上位3つ、根拠付きで)
2.各原因に対する改善アクション案
3.改善アクションの優先順位を「インパクト×実行難易度」のマトリクスで整理
4.翌月のKPI目標値の推奨(今月の実績を踏まえた現実的な設定)
【当月KPIデータ】 ・架電数:目標〇件 / 実績〇件 ・通電率:目標〇% / 実績〇% ・アポ率:目標〇% / 実績〇% ・有効アポ数:目標〇件 / 実績〇件
【定性情報】 ・チームからのフィードバック: ・FS評価の傾向: ・特記事項(競合動向・市場の変化等):
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【実際の出力例】
「FSからのフィードバック"商談で価格比較される頻度が増えた"→競合が値下げキャンペーンを実施している可能性→来月は差別化トークの強化を最優先(インパクト高/難易度低)。並行して、競合の価格動向を週次で調査するタスクを新設」。定性情報を加えたことで、数字だけでは見えなかった打ち手が出てくる。
【効果】
振り返りレポートが2〜3時間から30分に。「なぜ未達だったか」の原因仮説が自動生成されるため、翌月の立ち上がりが段違いに早い。「根性論」ではなく「データ根拠のある改善アクション」が出ることで、チームの納得感も上がった。
最後に
今回、10個の実務を公開した。個別のプロンプトを試すことは誰でもできる。
でも、セグメント設計を間違えたままリスト精査をAIに任せても、精度の高い「空振り」が量産されるだけだ。失注分析をせずにスクリプトをA/Bテストしても、検証すべき変数がズレている。「どの順番で、何を先にやるか」——この設計判断はAIには出せない。
10の実務を通じて学んだのは、AIは「正解」を出すツールではなく、「思考の穴を発見し、仮説を量産する」ツールだということだ。最終的な判断と実行は人間にしかできない。でも、そのサポートにAIを使わない理由は、もうどこにもない。







