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展示会リードの商談化率2倍!他部門との協業で欠かせないポイントとは?

松本 淳 | LayerX2023/11/17
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本稿ではインサイドセールス(以降IS)が他部門と連携する中で非常に重要な姿勢を具体的な例をもとにお伝えしたいと思います。とても細かいワンシーンですが、具体例な自体はどの会社でも実践できるものになっています。みなさんの組織でもぜひ試して欲しいと思います。

松本 淳 株式会社LayerX。2013年、外資系電子メーカーに新卒入社後、2015年にSansan株式会社へ転職。マーケティング部門にて主に展示会を担当。2018年にLINE株式会社へ転職後転職しイベント企画運営&IS立上げを担当した後、2021年に株式会社LayerXに転職。カンファレンス・展示会企画運営と同時にIS部門の立上げを担当。



このあとご説明しますが、これは弊社の行動指針の一部です。

凡事徹底


私が所属するISグループは特にマーケティング(以降MK)やフィールドセールス(以降FS)と連携することが多くあります。当社がTHE MODELという手法に則っていることもあり、MK↔ISやIS↔FSではかなり密な連携を日々行っています。

今回はこの連携における情報の質とスピードの向上に挑戦した事例を紹介します。舞台は展示会、特別なことはせずひたすら手間を惜しまないオペレーションの徹底をしたお話です。

目標設定


まずは目標設定です。本稿で題材とする展示会(2022年10月開催)では、以下のフローの高速化を目的とした運用改善を実施しました。

  1. 会場で頂いた名刺をデータ化し、
  2. 連携情報をもとに顧客へアプローチして、
  3. 新しい商談機会を獲得する


上記の運用改善から『名刺交換したその日にアプローチを始めれば商談化率を上げられそう!』という仮説を元にして、実施後2週間での商談化率を今年5月実施分比で2倍にするという高い目標を掲げました。

山盛りの課題


「じゃあやってみようか」とMKと合意したのは良いものの、課題はたくさんあります。実際、過去4回の展示会ではどんなに早くても展示会での接触翌日からのアプローチになっていました。そこで、改善を図るためにMKの展示会担当者に現状の確認を行った結果、次のような課題を発見しました。

・現場でご案内したメンバーと後日アプローチするメンバーが異なっているので、顧客情報の連携が難しい
・ヒアリング結果を正しく連携できないので、その後のアプローチで顧客体験を損ねている可能性がある(ISのアプローチも体験の一つですよね)
・対応優先度がわかりにくいので、効率的なアプローチが難しい
・名刺取得当日にアプローチを開始できないので、他社にスピードで負けてしまっているかもしれない

これは大問題です・・・。

具体的な改善点


”やろうと思えばできるけどやっていなかった'' = ”めんどくさい”をとにかく潰しました。
つまり、当社の羅針盤にもある凡事徹底です。展示会における”当たり前のレベル”を30→75くらいまで上げていきます。

具体的な実施内容は以下の通りです。特に顧客情報の引き継ぎで漏れているものを中心に、一つずつ丁寧に打開策を検討しました。

・正しい顧客情報を引き継ぐために、
 ー接客時に実施するヒアリングの項目を修正する
 ーヒアリングのメモ書きまで徹底的にデータ化する

・顧客体験をより良くするために、
 ー商談希望有無と当社都合の商談化必須条件を確認する
 ー展示会参加メンバーへその後のアプローチ手法を徹底周知
 例)「後日お電話してもよろしいですか」と尋ねる
   「後日メールをお送りしてもよろしいですか」と尋ねる

・当日アプローチを開始するために、
 ー頂いた名刺を随時データ化する
 ー社内専用のフォームを活用して手動で起票する
 ーIS内のリード運営担当者が即割り当てる


図:シンプルな意思疎通(情報共有)のフロー

改善するために必要なフローを図示してみましたが、かなりシンプルでした。
しかし、図には現れない細かいポイントがたくさんあるんです。

例えばこれ、名刺ポスト。


※壁に穴が開いていて、投函できるようになっています

頂いた名刺は、その都度このポストに丁寧に投函します。ついつい名刺入れに納めてしまいがちな受取名刺を、投函しやすい仕掛けを作ることで、漏れや効率を良くする意味では大事な一手間です。

ポストに投函されると、裏側で待機している現場責任者が即座にスキャナーで取り込みを実行します。当社では名刺データ化サービスを活用しています。ためた名刺をあとでまとめて取り込むこともできますが、その分、時間がかかってしまいます。この一手間が競合他社との差を生みます(と信じています)。

この後、商談をご希望された方の名刺は、社内で待機するMKメンバーがCRM上に手入力でデータ化していきます。有償の名刺データ化サービスは必要な情報を手間をかけずにテキスト化できる点で、展示会などの多くの名刺を取得した際は非常に有効です。

一方で、当社のように名刺だけではわからないヒアリング情報までもをリードに付加するために、手入力でデータ化することは手間ではあるけれども徹底すべき重要なプロセスでした。名刺を早く回収するためにも、ポストは非常に有効でした。


※ヒアリングメモを記したシールを名刺裏に貼り付け

こういった情報もしっかりテキストに起こして記録します。他にも記述の課題に対策するために、手間ではあるけれども一つ一つはそこまで負担ではないものを徹底的に処理しました。シールを作ったり、デモ用PCの環境を整えたり、起票用のフォームを作成したり...”めんどくさい”が最大の敵なのです。

結果




小さいけれど重要な改善を徹底的に行った結果、商談化率は前回比の2.1倍になりました!5月に開催された同テーマの展示会と比較して、獲得リード数は微減したものの、商談数自体を大幅に増やすことができました。大成功です。

振り返り


今回は展示会という場面で発見された情報連携における、"手間はかかる(めんどくさい)が個々の対応が難しいわけではない業務”の改善に取り組みました。
 
課題から結果までのまとめ
 


結局、神は細部に宿り、最大の敵である”めんどくさい”に打ち勝つにはやるべきことをやるしかないのです。まさに凡事徹底です。また、展示会に参加したメンバー全員が、当事者意識をもって改善に取り組んだ結果、最高の成果につなげることができました。

一方で情報の粒度はまだ粗く、展示会の現場メンバーと社内ISで顧客の解像度が揃えにくいシーンも見られました。現場メンバーに都度確認するのは不可能に近く、重要な改善ポイントになりそうです。(シールの活用は次の改善点がわかりやすく、PDCAサイクルを回す練習にもちょうど良いのでオススメです)

多くの業務の阻害要因は小さな、そしてたくさんある”めんどくさい”であることが多いのではないでしょうか。様々なポイントで小さなめんどくさいが顔をだして巻きます。そのままにせず、少しずつ潰していきながら、組織の当たり前のレベルをどんどん上げていくことが、大きな成果につながると感じています。


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