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商談・架電に使える“フィードバック”のポイント

野田 勇次郎 | エンSX2024/3/25
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本記事では、未経験や経験の浅いFS / ISの育成において、体系だったプログラムはもちろんですが、意外と見落としがちな現場での“フィードバック”にフォーカスして有効な手法をお伝えします。エン・ジャパンが大量に未経験営業を採用し、半年で既存と同じ生産性にまで引き上げた育成ノウハウをもとにしていますので、ぜひ最後までお読みいただけますと幸いです。

野田 勇次郎 | エンSX事業責任者。2016年エン・ジャパンに新卒入社。法人営業からキャリアをスタートし、チームリーダー、マネージャーを経験。その後、SaaS領域やWebサイトUI・UXなどの新規事業に営業責任者として携わり、自社の営業部隊だけでなく、パートナーチャネルを活用した事業立ち上げを成功させる。2022年からはエンSXの立ち上げに参画し、事業責任者を務める。趣味はキックボクシング、サウナ。

エン・ジャパンでは、主幹事業において60億程度の売上から5年で約4倍の240億まで拡大したという急成長の歴史があります。しかも、この売上拡大を実現させたときの営業組織のメンバーの大半が入社1年未満の営業未経験者ばかりでした。入社半年で、既存・中堅社員とほぼ変わらない営業成績を新人が出せるようになったのです。この時に体系化したノウハウの中から、意外と育成者の個人スキルに委ねられがち「フィードバック」について、有効な方法をお伝えします。

はじめに


そもそも、フィードバックとは一体何でしょう?弊社では、相手の行動に対して評価や改善点を伝え、軌道修正を促すことと定義しています。「できていない点の指摘」で終わらず、答えでなく、気づきを与えることが重要です。

 

できていない点の指摘だけで終えて、部下は明日から行動を変えていけるでしょうか?答えだけを教えて、相手が充分に理解や納得していない状態で、明日から行動を変えていけるでしょうか?そう簡単にはいかないと思います。だからこそ、明日から行動変容できるフィードバックをすることが重要です。



企業における研修・育成は学校教育とは異なる


学校教育は、体系化された教育カリキュラムがあり、教育者が主体となって一律で進んでいきます。そしてその成果を測るために明確な評価基準である試験が組み込まれています。いわば正解が存在するものです。

 

一方で企業研修は真逆ともいえます。企業研修を行う目的は、職業能力の向上や組織強化のために実施することが多いですが、体系化されていなかったり、目的は流動的になりがちで、一律の教育が行われることは少ないです。


また、最終的に目指すべきは企業の業績向上に繋がるかどうかなわけですが、個々人の成果は実践でしか測れないのが難しい点です。ですから、正解がないぶん、研修や育成をする意味づけ・動機付けが必要になってきます。育成者は、学習者の方のあるべき姿について共通認識をもっておくことで、フィードバックの有効性が増してきます。

 

エン・ジャパンでは体系だてた研修プログラムを作成する際、アンドラゴジーの成人学習理論という考え方をもとにしています。これは今回は触れませんので、ぜひご興味があれば調べてみてください。

 


効果的なフィードバックの3つのポイント


上記は厚生労働省が出している調査レポートから抜粋したものなのですが、学習者に対して、上司からのフィードバックが効果的だった理由、逆に効果的でなかった理由についてのアンケート結果です。この結果からも、よいフィードバックには、明日から何をすればいいかが行動レベルで示されていることが効果に繋がりそうだとわかります。

 

では、フィードバックには具体性をもたせるのが最も重要であるといううえで、どのようにフィードバックをおこなっていくべきか。ポイントを3つにまとめてご紹介します。



育成者と学習者の 目線合わせ

 

まずはフィードバックを聞いてもらうための土台をつくるためにも、相手に聞く耳を持ってもらうことが重要です。このフローをふまずに、改善点をいきなり伝えても、本人が「自分はできている」と思っている場合は、何も入っていきません。だからこそ、「できていない」という認識をすり合わせることから始めます。

 

ただし、「ここがダメだった」と否定から入るのも推奨できません。まずは、本人が自分の状態をどう思っているのかを確認しましょう。「今回の商談、自分自身ではどうでした?良かったと思いますか?」などと質問を投げかけます。学習者本人がどう思っているのかを知ったうえで、育成者から見た「客観的な事実」を伝えて、良かった点・悪かった点をすり合わせていきましょう。


Web商談であれば録画を一緒に見ながら、架電であれば録音を一緒に聴きながらフィードバックをすると、課題を認識させやすくなります。フィードバックの具体的なフローとしては、以下の通りです。

 

▼自己認知をはかる

▼客観的な事実を 認識させる

▼改善点を伝える

 


ポジティブ フィードバック先行 で受け入れやすく

 

フィードバックには、「ポジティブフィードバック」「ネガティブフィードバック」の2種類があります。ポジティブフィードバックは、前向きな表現を使って褒める方法。ネガティブフィードバックは、改善点を指摘して矯正させる方法。

 

どちらも重要ですが、「ポジティブフィードバック」から先に行なうことです。 指摘だけ続けると、モチベーションが下がり、行動変容に繋がりません。まず褒める。なぜそうしたのか、行動の理由や意識したことを聞く。そして、否定しない。その上で、「自分はどう思ったか」は率直に改善点を伝える。最後に打ち手を相談します。

 

最初から答えを伝えるのではなく、まず本人に問いかけましょう。「どうすれば良いと思う?」「できるイメージはわきそう?」などと確認し、しっかりと答えが返ってきたら、また褒めましょう。

 


改善ポイントは 1つに絞る

 

最後は、実践に活かしてほしい改善ポイントを1つに絞ってフィードバックすることです。商談の最初から最後まで、細かい点までフィードバックを羅列しても、相手は一度に多くのことを変えられません。かえって行動変容が進まなくなります。


お恥ずかしながら、私も以前は商談録画や架電の録音を視聴して、冒頭から終わりまで、細かく沢山のフィードバックをしていました。よかれと思ってのことだったのですが、受け手側としてはフィードバック量に辟易してしまいますし、何から直せばいいのかわからない・・・という状態に陥ってしまいます。

 

着実に行動を変えるきっかけとなるよう、改善点は、「目の前の課題解決に繋がりそうな箇所から」1つに絞りましょう。

 

そうすることで、次回のフィードバックは「前回指示した1箇所が改善できているか否か」に絞ってフィードバックできます。一件遠回りのように見えているかもしてれませんが、着実に次の商談から行動を変えてもらい、行動を変えたことでの変化を実感してもらうほうが、その後の成長に繋がりやすいです。



フィードバックした内容が改善されない場合の解決策

 

また、よく社内外から相談いただくことが多いお悩みとして、「前回フィードバックした内容が改善されない」という問題があります。

 

解決策としては、まずは「前回フィードバックした観点を意識して商談できたか」をヒアリングしましょう。前回のフィードバックした 内容を正しく理解できていなかったのか?理解はできていたが意識していなかったのか?意識したものの行動に移せていなかったのか?原因によって打ち手が変わります。 改善されなかった要因を特定してから、どうすれば解決するのかを育成者・学習者が一緒になって考えることが近道です。

 

エンSXでは、エン・ジャパンで培ったセールス・マーケのノウハウをもとにしたインサイドセールス代行、ならびにセールスの育成を支援しています。エンSXへのご相談・お問い合わせはこちらよりお待ちしております。

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