4

買い手こそGenerative AIを活用すべきなのでは?

InsideSalesPlus 編集部2023/11/17
twitter

本記事ではこれまでのナレッジ記事やインタビューではなく、いま起こっている変化やこれからについて編集部の考えや考察を記載しています。また、この内容については各業界の有識者の方々へのインタビューを予定していますので、そのための序章としてお読みいただけると幸いです。

InsideSalesPlusの編集部です。X(旧Twitter)で日々の新着記事やおすすめ記事を投稿していますのでぜひフォローをお願いします!

ChatGPTの衝撃から、現在では様々な領域でAIの活用が検討、そして実装されています。それはセールス&マーケティングの領域でも顕著で、インサイドセールスも言うに及ばず、その事例が登場し始めています。

Salesforce社も3月には「Einstein GPT」を発表しており、内容は以下の通りです。

  • Einstein GPTはOpenAIとの統合により、Salesforceの顧客にすぐに利用できる生成AI機能を提供します。
  • 新しいChat GPT app for Slack は、OpenAIの高度なAI技術を統合することにより、瞬時の会話要約、調査ツール、文章作成支援を提供します


Salesforce、世界初のCRM向け生成AI「Einstein GPT」を発表 www.salesforce.com

実際のデモを見てみるとCRMの情報からメールを自動生成しているのがわかります(Einstein GPT for Sales)。つまり、これまで人が介在していたマーケティングメールも自動で生成されるということです。

人と同等レベルの文章を生成できたとしたら?


それでもまだ人が作るメールや手紙に軍配があがることもありますが、詳細なプロンプトを腕の良い営業や営業マネージャーが作成、指示すれば高精度な営業メール、マーケティングメールが作成可能です。

しかも、これまでのように時間をかけず、人によってのバラツキがつくなく同時に複数のメールを作成できるようになり、圧倒的な量のマーケティング、営業が可能になります。

ここまでは「ちょっと先の良い未来」だと個人的には考えていまして、これまでのように「Why you now」がないメールや手紙が激減し、価値のあるものが届くようになれば購買環境はとても良いものになると思います。

一方で、受注確度は不明だがまずは商談だけ増やしたいという売り手が増えてきたらどうなるでしょうか?あまりにもレベルの高いメールや手紙が送られた結果、その売り手企業が解決できる課題 < 獲得できる商談という構図になってしまう可能性はないでしょうか?

もしそうなってしまったら、これまでのような「商談が獲得できない」という状況が「商談は獲得できるが受注しない」というように、問題がファネルの奥に文字通り先送りされた状態を生み出してしまう可能性があるのでは?と考えています。

局所的な使い方ではなく、全体設計が重要


もちろん、第1段階としてアプローチ部分が改善される、メールの内容がより買い手にあった内容になるというのは素晴らしいことだと思います。しかし、前述した通り、受注数の増加は見込めても受注率の向上には疑問が残りますし、アプローチ対象が激増することによって、その影響は計り知れません。

ですから、アプローチ部分だけにAIを活用し生産性を意識するのではなく、アプローチ後の設計にもAIを活用することが重要だと考えます。例えば受注プロセス分析やパターン化。その過程で必要な情報や効果的なコンテンツの抽出と作成、作成支援などをAIを使って実現することが該当します。

また、失注時の活用も重要で正しい失注理由にたどり着くための質問例の準備や活用しながらのブラッシュアップにも活用可能だと考えます。それさえ明確になれば次回アプローチの時期や内容を具体化させることができますし、買い手にとっても良い購買体験を提供することが可能です。

このように、ファネルの上部、左側だけに注目して活用するのではなく、受注プロセス全体への活用を促すことでより効果的な使い方になるのではと想像しています。


買い手こそAIを活用すべき


私はこれまで、「売り手と同等、それ以上に買い手が評価されるべき」とコメントしてきました。それは適切なシステムやサービスを選定し導入することは会社に大きな利益をもたらすからです。

コストを下げる、売上を伸ばす、競合との差別化、その他様々なシチュエーションがあり、これまでは売り手がその評価を受けてきましたが、これからは買い手の価値があがるべきだと考えています。

また、これからAIを活用したCxOレターやメールが爆発的に増加することを考えると、それに対してすべてを検討し、見極め、対応する時間は買い手にとって効率的とはいえません。

ですから、AIを買い手こそが活用し(もしくはこういったサービスが提供されることで)効率的に購買、定着化、場合によって入れ替えを行っていくべきなのです。例えば以下のようなサービスがあったら素敵だと思いませんか?

AI「あなたの会社のURL、IR情報を入力してください。また、社内システム、利用サービスのアクセス権を私に付与してください。」
AI「…」
AI「…」
AI「貴社に最適なサービスは◯◯です。A社とB社の比較検討を実施し、導入を進めてください。また、◯◯については活用が進んでいないため◯◯を検討してください。加えて、この分野で良く読まれている資料がこちらです。読み込むと良質なヒントを得られる可能性があります。」

もちろんこれだけで完結するわけではありません。社内の状況や予算、各種調整などが必要になりますが、買い手(特にその担当)にとってはとても有意義な時間の使い方ではないでしょうか?

売り手からアプローチを複数回受けるよりも、定期的にこういったサービスを活用し、必要な情報を集めていくことがもっとも効率が良いのでは?と考えます。

結局のところ、最終的にはインバウンドが加速するのでは?


サービスの検討に至っては、AIが学習するにしても人が学習するにしても、製品情報や検討のポイント、事例などのヒントになる情報が必要になると思います。つまり、コンテンツを中心としてインバウンドマーケティングがしっかり機能するようになるのではと個人的に考えています。

ですからやはり買い手中心の購買活動に注力するのが最終的にもっとも効率的ですし、それが裁量の購買環境なのではないかと感じています。

ツールを強力に活用したアウトバウンドが増え、商談機会が一定増加することは歓迎すべきことと思いますが、それでもその先には受注しない商談が買い手側によって生み出されてしまないように自制する必要がありますし、素晴らしいテクノロジーだからこそ、売り手に寄り添った思想や開発がされることを切に願います。

これからの話


今回のこの流れを受けて、この内容を各有識者の方々と議論していきたいと考えています。その様子は連載できるかは不明ですが、何かの形で継続的に皆さんにお届けしていきたいと思いますので、ぜひ会員登録をしてお待ちください。メールで続報の記事が出た場合にはお知らせします。

会員登録はコチラ

4

おすすめ記事

あなたの知識や成功/失敗体験を記事にしてみませんか?

Inside Sales Plusはより身近で実践的な情報を求めています。メール件名の工夫やトークの一部など、数百文字から記事にすることが可能です。ぜひお気軽にご応募ください。

記事寄稿

©︎2023 InsideSales Plus Inc.