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リードのフェーズ管理、してますか?

内藤 陽太 | infobox2024/1/6
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本記事では、商談創出を最大化するためのリードにおけるフェーズ管理について解説していきます。セミナーフォローや比較サイトからの資料ダウンロード、様々なシチュエーションに対応できるようになることでマーケティング施策の投資を最大化することが可能です。

内藤 陽太 株式会社インフォボックス所属。一部上場企業からセールスフォースへ転職後、インサイドセールス、セールスとしてのキャリアを積む。その後、VISITS Technologiesにてインサイドセールス、カスタマーサクセスチームの立ち上げを担う。現在はインフォボックス1人目のbizdevとしてプロダクト開発からセールス、CSまで幅広く活動中。

「お客様のホームページをしっかり見た、中計を読み込んだ、採用サイト、仮説を立てた。やるべきことはニーズの確認、キーマンかどうか、予算はあるか、タイミングだ。よし!電話だ!」と挑んで冒頭からうまくいかなかった経験はありませんか?うまくいかなかったのはもしかしたら「リードのフェーズ」を意識できていないからかもしれません。


すでにSDRのとして活動されている方や、業務開始まもない方、これからインサイドセールスとして稼働を始める方はもちろん、メンバー育成や業務設計に携わっている方など多くの方に読んでいただきたい内容です。


リードのフェーズ管理


商談が受注に至るまでフェーズがあるように、リードにも商談化に至るまでのフェーズがあるのでは?と考えたのがリードのフェーズ管理です。インサイドセールスが意識すべき商談機会の獲得(≒打ち合わせ日時の獲得)までのプロセスを整理してみました。


また、そのフェーズの途中にある壁を4つの不になぞらえて補記しています。まず越えるべきは不信「お前誰だよ」の壁です。自社を認識していただけている場合はスキップしていただいて問題ありませんが、ホワイトペーパーのダウンロード、展示会リードのフォローや過去のリードフォローなど、お客様が我々を認知していない、忘れてしまったという状況はよくあります。そこを乗り越えずして会話を始めても、関係性は進展しません。


次は不要、不適「ヒアリングの壁」ですが、ニーズが顕在化していればここもスキップして問題ありません。ただ多くの場合はそうではありません。ニーズが顕在化していないお客様に製品や商談機会をご提案しても「いまは必要ありません」や「それで解決できると思っていません」という回答となり、そこで試合終了です。


最後に不急「アポイントの壁」です。確かに問題だ、解決できる可能性がありそうだとなっても「いますぐには必要ない」ということはよくあります。ですからインサイドセールスとしては、なぜいま商談する必要があるのか、これをお客様にお伝えする必要があるのです。


まずは以下の図で自身のイメージと比べてみてください。もしこういった段階をイメージできていないとすると、どのお客様にも画一的な対応をしてしまい、商談機会の獲得、それにつながる関係構築に課題があるかもしれません。



リードのフェーズ管理によって得られる効果


フェーズ管理のメリットをまとめると以下の通りです。実際に私がプレイヤーとしてこの方法を実践していたときに感じたメリットに加え、マネジメントをする立場になってからのメリットも記載しています。


はじめてSDRを経験される方の立ち上がりが早くなる

→どのフェーズまで進んだのか、どのフェーズから進めないのかを知ることでになることで課題が明確になり改善サイクルを回しやすくなるため。


お客様とのスムーズな会話が可能になり信頼関係を築きやすくなる

→お客様(企業)の現状や課題だけではなく、お客様(個人)の感情の変化に合わせた対応をすることで信頼されやすくなるため。


将来的な商談の創出に繋がることで商談創出が最大化される

→KeepinTouchによってお客様にニーズが新たに発生、もしくは何か変化を捉えることが可能になるため。


総合すると「商談創出が増える」なのですがお客様との関係構築がうまくいくことで、様々なマーケ施策の効果検証のヒアリングがうまくいく、メールでのアンケート回収率が上がる、イベント集客に効果がでるなど、副次的な効果も豊富です。


現状、リードからの商談獲得率が高い、もしくは商談のサイクルが短い、単価が低くLTVが小さい、などの理由からリードのフェーズ管理が最適ではないと判断される方もいらっしゃるとは思いますが、うまく運用すればそこまで工数もかかりません。ぜひ実施した際のメリットを想像していただくところから始めてみていただければ幸いです。



具体的な運用についての解説


特に失敗の多い不信の壁に集中してご説明してきます。一部前述している部分もありますし、言われてみれば簡単な話なのですが、お客様の状況は様々であり、本来はそこに合わせて準備し、実行する必要があります。


・1年ぶりに電話をかけた人かもしれません

→そもそも社名を覚えていない。


・外部媒体から資料をダウンロードしただけかもしれません

→どの会社の資料か認識していない。


・ある時期たくさんみていたウェビナーのうちの1つかもしれません

→複数参加しているのでどの企業か区別ができていない。


こうした中でいきなり「御社のxxxが〜」という話をされてもお客様の心の中は「(ちょっとどなたですか?なんで私の連絡先知ってるんですか?)」になっていることが非常に多いので注意する必要があります。


電話先の相手が自分に電話がかかってきた理由を理解しないとその先どんな情報を伝えても相手にインプットされていきません。また、自社の会社名を認識してない場合も、なんの会社なのかイメージできていないためその先の会話もうまく続きません。


聞かなくてはいけない、話さなくてはいけないことを必死になるのではなく、「お客様がどういった心理状態にあるのか(フェーズにあるのか)」を想像しながら話をするのが大切です。



具体的にどうすればいいか


①オープニングトークを見直す。

うまくいかないときほど、冒頭から最後まで同じようなトークをしてしまっているケースが非常に多いです。


まずは、いつ(初回接触日、最終接触日)、どこで(リードソース)、何を(最終活動履歴)をしっかりと読み込み、お客様にお伝えすることを端的に、個別具体の話を練り込むことがポイントになります。CRMを導入していればこの情報を把握することも容易かと思います。


CRMを使用していない、使ってはいるが情報が不足しているという場合には、前任者に聞く、名刺管理ソフトにある情報から、いつのリードか推定するといった方法があります。特に意識してほしい具体的なポイントをまとめました。


 ・冒頭10秒をしっかり練ってから電話をかける

 ・お客様が聞き取れるように落ち着いて、ゆっくりと正確に話す

 ・相手に伝わっているか集中して相手の相槌、反応を確認する


②お客様が思い出してくれなかった場合どうする?

過去の接点経緯をご説明しても思い出していただけなかった場合、まずは不信感を与えてしまったことを素直に謝罪するのがよいと考えています。


例「【過去接点経緯】はかなり昔のお話だったのですが、唐突なご連絡をしてしまい大変失礼いたしました。」


次に相手の反応次第ですが、話を続けられそうであれば「なぜあなたに、なぜいまか(Why you, Why you now.)」を口頭でお伝えします。


例「【過去接点経緯】から、xxxという情報(資料やセミナー)が、もしかしたら◯◯様のお役にたてるのではないかと思いご連絡をさせていただきました」


話を続けることが難しい場合は経緯を含めて、この「なぜあなたに、なぜいまか」をメールにしたためてご連絡するのが良いと考えています。



フェーズの意識 ≒ 個別の対応


フェーズを意識することはお客様との関係性や合意していることに合わせたコミュニケーションをとるということになります。課題やニーズ、費用対効果の合意が確認できていない状態でクロージングかけても受注しないのと同様に、なぜ電話がかかってきたのかもわからない、社名も覚えていない状態で自身や自社の課題を話すことはありません。


私はフェーズを意識することにより、意識と行動が大きく変わりました。


・無理に一回の電話で商談にしようとは思わなくなった

・電話 → 忘れていたら資料の送付 → 再度電話など頻度高くコミュニケーションをとり、短期間に複数回の電話で不信の壁を超えていくようになった


上記のような変化から、中長期で関係を構築できるとようになりました。この行動は将来の商談機会を作る種として積み上がっていくので、インサイドセールスとしての数字も安定してきます。※もちろん資料請求からの商談獲得が50%を超えているような状況であればすぐにフォローすることが望ましいです。


一見フェーズを意識して個別対応をすることは効率がわるいように見えます。しかし、商談獲得率が1%のホワイトペーパーがあったとして、もし5%まで伸ばすことができれば、リード1件あたり5倍の準備時間を創出できますし、慣れてくればほぼ時間を使うことなく個別対応ができるようになります。


ですから、「たくさん架電する中で覚えていこう」という発想ではなく、最初から丁寧で正しいコミュニケーションの方法を覚え、能力開発と共にその量を増やしていく方がオンボーディングの期間やその後の再現性とう意味で効果的だと考えています。


最後に


まずはここまでお読みいただきまして、ありがとうございました。本記事は「リードを厳しく厳格にフェーズを分けて管理する!」という推奨記事ではありません。お客様のフェーズを意識することで「相手の気持ちを察し、それを言葉にして伝えることができるかどうか」を大切にすることがもっとも成果につながるという意図で作成しております。


また、先程示したフェーズですが、それは完成形でも答えでもありません。状況によって変わっていくものですし、企業とお客様の状況によっても変化していきます。ですから、このまま利用するところから始めたとして、ゆくゆくは自社に最適なフェーズを定義し、見直していく形を推奨いたします。


この情報が皆さんのお役に立てれば幸いです。また、ぜひX(旧Twitter)でもご意見、ご感想をいただけますと次の記事の励みになりますので、記事のいいねと共によろしくお願いいたします。

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