前提条件
当社のインサイドセールスはSDRをメインに活動しており、今回の対象となるリードは日中の9時〜19時に獲得したリードです。リード獲得からコールを行なうまでに確認していることは、①有効リード(アプローチするに値するリードか)、②過去商談などの接点の有無、接点有の場合はいつ・誰が・どんな会話をしているのか。この2点を確認して即コールを行ないました。
結果
以下がテストの結果です。
リード獲得からコールまでの時間を、90秒以内/3分以内/3分以降とした場合のそれぞれのコンタクトの結果です。リード獲得からコールまでの時間が90秒以内と3分以降ではコンタクト率に38ptも差がありました。また、3分を過ぎると一気にコンタクト率が半減してしまいました。
1秒でも早くコールを行なうことによるメリット
即コールすることのメリットは、皆さまお察しの通り、“見込み顧客の温度感が高い状態でコンタクトができる”ことです。1時間後、1営業日後と遅くなればなるほど、顧客の温度感は低下していきます。ですから、発生したリードに対して即アプローチすることは、温度感の高いお客様との会話を可能にするのです。
しかし、もう1つメリットがありました。それは“顧客に良い体験を提供できる”ことです。というのも、90秒以内にキーマンにコンタクトできた場合、接続した瞬間に以下のようなリアクションをいただることがあります。
「え!さっき資料請求した件ですよね?めちゃめちゃ早いですね!」
「私、即対応してくれる営業さん大好きです!」
「御社すごいですね!流入があったらすぐ電話してくれるんですか?」
上記は実際に我々がいただいた言葉ですが、嬉しいお言葉をいただける顧客が非常に多かったです。もちろんフォロー電話を毛嫌いされる方も一定数は存在するため、100%ではありません。このようなポジティブな反応をいただけた場合、ニーズがずれていない限りほぼ確実に商談獲得に繋がります。
私たちの提供する営業代行サービスは競合が多く、加えて無形商材のためプロダクトによる差別化は難しいビジネスです。そのため、インサイドセールスによる良い顧客体験の提供そのものがそのまま競合優位性になり、最終的な受注にもつながります。即コールは最短で成果を出すにふさわしい、シンプルな手法です。
一方で、以下はリード獲得からコールまでを90秒以内/3分以内/3分以降のどのくらいの時間で実施できていたのかの比較です。
当社のインサイドセールス体制が少数精鋭ということもありますが、ボリュームゾーンはやはり「3分以内」です。先述のコンタクト率のテスト結果を鑑みても、いかに3分以内コールを実施できるかのオペレーションの構築も同様に重要ですね。
3分以内アプローチの実践のために必要なこと
即アプローチの弊害となってくるのが、主に社内外のMTG/他顧客への対応/業務時間外(早朝・お昼休憩・夜)です。
当社のIS体制は少人数のため、社外MTGと他顧客への対応については仕方ないことと捉えています。また、BtoBの特性上、業務時間外の流入分についても即アプローチはせず、基本的には朝9時~夜19時内での対応としています。その分、業務時間内での即アプローチの実施率を高めるため、社内MTGは最小限にし、無駄なMTGは省く。もしくはMTG参加中でもリード対応を優先するといった運用です。
ISが複数名いるチームの場合は、より実施率を高められるはずです。即アプローチの対応者を代わる代わる配置することもできますし、対応者を割り振りするのではなく、リード流入時にISメンバーの立候補制で早い者勝ちで対応者を決めるというフローも有効だと思います。当社ではリード流入があるとSlackで通知されるのですが、その投稿へのリアクションで初動を確認しています。
具体的なフロー
▼リード通知
様々な経路からリードが流入してくるのですが、現在の弊社の環境ではすべてをリアルタイムにSFAには反映できないため、まずSlackにてリード情報を通知。
▼対応者確定
通知を検知したメンバーが、指定のマークでリアクションをつけ、そのリードを対応。コンタクトできるまで、そのメンバーが責任をもってアプローチします。
▼接触履歴確認
SFAを開き過去の接触履歴を確認します。アプローチ状況を確認し、既存顧客や商談進行中でない限りはアプローチOKとします。
▼HP確認
HPでは「事業内容」、会社概要の「社員数」「資本金」「設立年数」を確認します。
▼事業内容確認
当社親会社のエン・ジャパン株式会社から問い合わせがあった場合を例としましょう。
「この会社は採用支援事業を展開しているが、複数のサービスを展開しているから今回の担当者はどの事業を管掌しているのか確認しよう」
「採用支援会社は○○の事例があるから伝えよう」
「直近、採用支援会社から問い合わせがあった際に○○の課題があったから当て込んでみよう」
など、ヒアリングすべき項目や当て込む仮説を整理します。
▼会社概要確認
続いて会社概要を確認します。
こちらでは従業員数・資本金・設立年数を確認します。BANT条件の予算確認をするために、ここから予算感をある程度予測します。
エン・ジャパン株式会社の場合、社員数3000名と社員数は多く、設立年数も長くて上場もしているため予算は問題なさそうだと考えます。こちらが10名未満、資本金額が1000万円未満、設立1年未満などの企業の場合、予算感の確認は必須になります。
▼発信
ここまで確認したら発信します。
▼電話が繋がった場合
弊社では現状固定のスクリプトは設けておりません。
冒頭に問い合わせの御礼をお伝えし、興味をお持ちいただいた理由を質問します。以降の会話はリードの業界、役職、課題感、導入の温度感など、状況に応じて臨機応変に対応をしています。これは当社が少数精鋭だからできることであり、今後組織を拡大していく際にはスクリプトにして標準化していく必要があります。
▼電話が繋がらなかった場合
メールアプローチへ切り替えます。基本的には①携帯番号へかけてつながらなかった場合、②代表番号へかけたけれども不在だった、この2パターンに対するメールを準備しています。
稀に受注可能性の高いリードから問い合わせがあった際は、1通目のメールから個社毎に凝ったメールを送付することもありますが、基本はスピード優先のため、テンプレートで対応します。繋がらずにメールを送る場合、以下を冒頭に入れることで、興味がある場合は折り返しをいただく可能性があがります。
①携帯番号の場合
「先程着信を残させていただきました。ご多忙と存じますのでメールにて失礼します。080-0000-0000は私です。」
②代表番号の場合
「先程貴社宛てにお電話をさせていただきました。お席を外されているとお伺いしましたので、メールにて失礼します。」
こちらが当社のリード通知から即アプローチまでのオペレーションです。ぜひ皆さんもリソースや利用ツールを鑑みて、即アプローチを実践できるオペレーションを検討してみてください。
ちなみに当社でどのようにこのアプローチ時間を計測しているかは、まだアナログです。今回この検証結果を出すうえでは、SFA上からエクスポートしたリード情報の発生時刻、コンタクト結果と、CTIからエクスポートした架電データのうちの発信時間を照合しました。きちんと即コールによって高いコンタクト率を保てているのか、定期的に計測しています。このあたりはもっと効率化できる方法を模索中です。
まとめ
今回はリード獲得からコールまでの時間毎によるコンタクト率の差のテスト結果、そして即コールは良い顧客体験を創出する、という内容をご紹介しました。
リード獲得からの即コールは、習熟レベルに限らず誰しもができることです。
インサイドセールスは1番最初に顧客とコンタクトをする重要な役割。いかに良い顧客体験を提供できるかを追求していきましょう。
エンSXでは、エン・ジャパンで培ったセールス・マーケのノウハウをもとにしたインサイドセールス代行、ならびにセールスの育成を支援しています。エンSXへのご相談・お問い合わせはこちらよりお待ちしております。