まずはCxOレターのポイントを記載し、その後に実際のレターの添削を掲載していきます。今回はTwitterで募集し、それに応えてくださった方々の実際のレターやメールの内容を掲載しています。まずはご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。それでは本編に入っていきたいと思います。
CxOレターのポイント
CxOレターのポイントは大きく以下の4つです。今回はここがメインではありませので簡単にだけまとめていきます。
- Why you, Why you now.
- 記載する順番はWhy you nowから
- 定量的な情報や事例を活用する
- 次のステップや要望を明確にする
1.Why you, Why you now.
インサイドセールスの皆さんなら一度は耳にしたことがあるかもしれませんが、CxOレターの8割はここに集約されると言っても過言ではありません。「なぜいま、あなたに連絡したのか」をより具体的に、よりその企業にとって価値のある情報にできるかが重要で、ここがないと手紙というチャネルを使った宝くじ(偶然ニーズがあって、当たったらラッキー)になってしまいます。
具体的には「新商品の発表」「市場の変化」「その人個人の変化」など、個人<企業<市場というように影響力が違いますが、市場からの考察も具体的であれば十分商談機会獲得のきっかけになり得ます。よくない例は「昨今、貴社の市場も競合関係が激化していますが〜」というような内容で、これではマス向けのメールとなんら変わりません。
2.記載する順番はWhy you nowから
自分のことを、自社のことを知らない方へ連絡する場合はどうしても自己紹介を先頭に持ってきてしまいます。これは不安や普段からの慣習によるものですが、CxOレターはそれでは結果につながりにくくなってしまいます。まず第一に伝えなければいけないのは「あなたにどんなメリットがあるか」や「これは信頼できそうだという仮説」です。
イメージしていただきたいのは、知らない相手からのDMや手紙がきたとき、一番最初に「弊社は〜」という文言から始まったらどんな感情になるか、ということです。ここで読みたくないという思う方もいると思いますし、そのあとに製品の説明がついていたら読むのをやめてしまいたくなります。
現在は情報に溢れています。ポストに投函されたチラシすべてに目を通すことは少ないと思いますし、その瞬間ニーズにハマったもの以外は読まないと思います。ですが封書であなた宛てにきた手紙はどうですか?手にとって開封しますよね?それに近い感覚です。
3.定量的な情報や事例を活用する
信頼を獲得するために必要なのは定量的な情報と導入事例です。例えば「創業明治元年」と書いてあたら老舗、歴史、信頼という感情になると思いますし、「導入社数100,000社と突破!」と書いてあったら安心や信頼につながると思います。事例も同様の効果があり、トヨタ様が導入していると記載があったらどうですか?少なくとも信頼につながると思います。
また、事例については「課題解決の証明」でもあるので、◯◯ができる、◯◯を解決すると書いてあるだけでは信頼できませんが、具体的な社名、それも自分が知っている社名であれば少なくとも不安が軽減されると思います。
4.次のステップを明確にする
「もしご興味があればご連絡ください」というは一見親切なように見えますが、お客様の負担も増えますし、こちらからのアクションに対して多忙な方々が連絡先を入力し、ご連絡をいただける確率はかなり低いといえます。※QRコードを絡める場合もありますね。
明確にすることも重要なので「◯月◯日に秘書の方へご連絡いたしますので〜」というようにいつ、誰に、を明確にしておくことでその後をスムーズに進めることができますし、お客様に余計な手間をかけずに済みますので、しっかり具体的な内容にすべきです。
実際のCxOレターを見てみよう①
まずは1社目はエクネス株式会社さんです。先日私のTwitterでも紹介したロボットが手書き風の手紙を代筆してくれるサービスの提供会社さんです。最初にいただいたものがこちらです。
冒頭に競合について記載いただいているのはGoodなのですが、もう少し具体的に表記してもらった方がより興味を持っていただきやすいので、そこを少し修正してみました。
また、せっかくなら提案内容、効果をもう少し増やした方が(誇張するということではなく)検討していただきやすいと思うのでそこも加筆します。そして修正したものが以下です。
ポイントは困りごとに対して具体的にメリットを訴求している点です。ここまで細かく書いてもらえると、その仮説自体が正答でなかったとしても「この企業なら力になってくれるかもしれない」と私は考えます。
実際のCxOレターを見てみよう②
2社目は社名非公開のこちらの企業様です。TwitterのDMでいただいたのですが、良い意味で少しラフです。さて中身ですが、やはり先に企業の説明が来てしまいます。そしてセミナーのお誘いなんですが、中身が少しわかりずらいと思ってしました。
少し固めに編集してみました。また、その人の人間性や日々の方向性を感じている(と相手に思ってもらえる)内容を記載することが重要です。加えて具体的な内容。ここがふわっとしていると「なんとなく書いているな」と感じられてしまう危険性があるので、事実に基づいてしっかりと詳細に書いていきます。
製品紹介は最後の最後で十分です。まずはそこまで読み進めてもらうことが重要なので、その読む時間、文字数はすべてそこに使っていただき、自社のことは最後に付け足すようにしましょう。
実際のCxOレターを見てみよう③
3社目はこちらです。こちらも僕もツイートをみてDMしてくださいました。挑戦もかねて、というところに個人的には刺さってますが、CxOレターのレビューという意味で添削していきたいと思います。
1社目と同じように「市場環境に関して抽象的に書かない」というポイントがあげられます。そして商材、サービスがブランディング、その設計や支援なので抽象度の高い課題に抽象度の高いサービスを提案すると、相手にイメージが伝わりづらくなります。そして、自社ができることをただ羅列してしまうと、相手の会社がなにもできていないという伝わり方になる危険性があるのでここも回避したいところです。
より具体的に競合名を記載し、現状の事業に対してもしっかりと調べた上で記載していきます。そして具体的な提案に加えて、実績を示し信頼と興味を獲得するために、実際の導入事例を記載していきます。
また、他社との比較をするために差別化ポイントを記載していきます。ここまで読んでいただければ、もし今回機会に恵まれなかったとしても、もしこの課題が顕在化した際には、もしかすると想起していただけるかもしれませんし、私なら一度は話を聞いてみたいと思います。
実際のCxOレターを見てみよう④
4社目は少し趣向を変えてみます。サービスの提案やその機会の獲得ではなく、既存顧客に対するアプローチです。そしてこれが素晴らしかったです。僕の元チームメンバーがマネージャーをしているチームらしく、そこがしっかり記載されていました。聞いてみれば当たり前と思うかもしれませんが、事前にFacebookなどで共有の知人がいないかなどを調べてくる人は本当に一握りです。
また、過去のTwitterでのコミュニケーションにも触れています。僕はツイートへのリアクションを正直覚えてはいませんが、こうやって書いていただくと嬉しい気持ちになります。これもSFAの情報を活用する、ということに似ていますね。
そこから具体的な提案が続きます。最初にお祝いの言葉が入っているのも非常にポイントが高く、そこから展開される仮説も精度が高く無駄がありません。さらに具体的な操作方法からマニュアルの添付までされていて、仮に返信しなかったとしてもほぼこの提案通りに実行してみたと思います。
内容は普段皆さんが書かれているものとは違うかもしれませんが、非常に学びが多いのでぜひご覧ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。実際の紙のレターではありませんでしたが、参考にしていただけるポイントがあったと思います。もちろん量で数字を担保することも必要ですが、やはりその中でも質を同時に追い求めることがインサイドセールスの介在価値だと思います。CxOレターやメール、DMを書くことは労力が必要になりますが、自身の能力開発にもつながりますので、ぜひチャレンジしていただきたいと思います。
インサイドセールスプラスでは皆さんのアイデア、ナレッジ、成功体験や失敗体験を募集しています。自分では小さなことと思っていることが、他の人からみれば素晴らしいナレッジだったということも多くありますので、ぜひ寄稿フォームからお気軽にご投稿ください。校正もお手伝いさせていただきますし、匿名での寄稿も可能です。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。