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はじめて「お手紙施策」にチャレンジするBDRが気を付けること

内藤 陽太 | infobox2024/1/10
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本記事ではBDRの有効な施策の一つである「お手紙施策」について、よくある失敗に触れながら、失敗しないために気を付けるべきことを解説いたします。特に初めてお手紙施策に取り組まれる方にぜひお読みいただきたいです。

内藤 陽太 株式会社インフォボックス所属。一部上場企業からセールスフォースへ転職後、インサイドセールス、セールスとしてのキャリアを積む。その後、VISITS Technologiesにてインサイドセールス、カスタマーサクセスチームの立ち上げを担う。現在はインフォボックス1人目のbizdevとしてプロダクト開発からセールス、CSまで幅広く活動中。

「お手紙施策」とは


「お手紙施策」とは、「CxOレター」とも言われており、役職者や決裁者に手紙を送ることでアポイントを獲得する手法です。

ダイレクトメールを郵送する営業DMという手法とよく混同されがちですが、一定のリストに対し一括で送られる営業DMとは違い、CxOレターは役職者や決裁者に向けて1通1通カスタマイズした手紙をお送りするものであり、その性質は全く異なります。

「お手紙施策」でよくある失敗


ここからは、お手紙施策でよくある失敗3つをご紹介します。

よくある失敗①効果が出るまで時間がかかることをわかっておらず、続けることができない


前提として、お手紙施策は非常に足が長い(=効果が出るまで時間がかかる)施策です。

なぜなら、アプローチ対象を見つける、アプローチ対象を見つけて実際にお手紙をお送りする、お手紙を読んでもらった後にアポイントを獲得する、アポイントから商談機会に繋げるといった各工程すべてに多くの時間を費やします。

その上、お手紙施策の対象は、上場企業や大手企業が大半です。商談のリードタイムも当然長くなるので、商談機会をいただいてから商談が進行し、受注するまでにはインバウンドをはじめとする他の商談と比べ、商談期間が長くなります。

こうしたリードタイムがかかることを考慮しないまま、「新規開拓=お手紙施策」と安易に考えて効果を体感できるまでの時間を短く設定してしまうと、成果が出る前に「効果が出ませんでした」と判断することになってしまいます。

基本的にはお手紙施策は、アプローチから受注までのリードタイムが長くなったとしても、受注した際のリターンが大きい企業様に対して行うアプローチです。

そのことを念頭に置いて、他のチャネル(インバウンドリードや、セミナーリード、イベントリードなど)とは時間軸を長めに見た上で取り組むことが望ましいでしょう。



よくある失敗②貴重なターゲットに対し、焼畑を行ってしまう


繰り返しになりますが、お手紙施策は、アプローチから受注までのリードタイムが長くなったとしても、受注した際のリターンが大きい企業様に対して行うアプローチです。よって、その対象となる企業数は多くありません。

仮に、アプローチ対象になる企業が500社いたとします。この500社にお手紙施策を実施しようとした場合、1ヶ月もあれば全社に送り切ることができるでしょう。

当たり前のことですが、この貴重な500社のうち10社から「もう送らないでください」と言われてしまうとアプローチできる企業は490社になってしまいます。貴重なターゲット企業は受注できたときのリターンが大きいと同時に、失ったときのインパクトが大きいことは忘れてはならないポイントです。

お手紙施策を行う際は、貴重なターゲットリストを焼畑にしないように、誰に対しどのような内容のお手紙をお送りするべきかを設計した上で行いましょう。

また、返信が来ないからといって誰彼構わずにお手紙をお送りするのもやめましょう。例えば、インターネット上の情報をもとに、A社営業部長のBさんにお手紙をお送りするとします。何度もBさんにお手紙をお送りしたものの、なかなか接点を持てないので隣の部署の営業部長であるCさんにもお手紙をお送りします。

こういった場合において気をつけなければならないのは、BさんとCさんの秘書が同一というケースが往々にしてあることです。そうなると、A社にとってあなたのお手紙はもはやマス向けに送っているダイレクトメールと変わらないものになってしまいます。少なくともA社からはそういった印象を持たれてしまいます。

他にも、ずっと営業部長Bさんに連絡していたものの、返信をいただけなかったりお電話を繋いでもらえなかったときに、そのさらに上位レイヤーである役員の方にご連絡をすることがあると思います。こういった場合、もし役員の方とアポイントがとれたとしても、実際にいざ商談を進めようすると商談が進まなくなるケースがあります。

上記のようなことがエンタープライズ営業ではよく起こるので、お手紙施策は戦略的に送る必要があります。役職者だから、名前が特定できているから、リード情報があるから等、とにかく手紙を書いてアプローチすればそれでいい、という施策ではないことに留意しておきましょう。

よくある失敗③フィールドセールスとの連携がうまくとれていない


よくある失敗を乗り越えてせっかく獲得した商談機会。ただし、商談機会を獲得したあとも注意が必要です。

SMB向けの営業とは違い、エンタープライズ営業においては商談機会をパスして終わり、ではありません。エンタープライズ営業のBDRは商談目的ではないアポイントを獲得する方が多いことが特徴です。まずは情報交換をしましょうといったアポイントや、とりあえず商品説明だけしてくださいというアポイントなど、どのようなアポイントを設定したのかをフィールドセールスに必ず連携しなければなりません。

前述のどの部署向けにアプローチする戦略設計のところからフィールドセールスと連携するのが望ましいです。この連携ができていないとフィールドセールスがせっかくのアポイントを無駄にしてしまいます。

それでも「お手紙施策」に取り組むべき理由


ここまでお手紙施策のよくある失敗をお伝えしてきたので、お手紙施策は大変だと思われた方も多いと思います。

それでもエンタープライズ企業を開拓するためにお手紙施策に取り組むべき理由は、以下の2点があげられます。

①受注したときのリターンが大きい
②開拓した企業の事例をもとに、さらに同業界の開拓を進めることができる

①受注したときのリターンが大きい


特にSaaSビジネスはライセンス数に比例して受注金額が大きくなるため、エンタープライズ企業1社を受注するために時間と手間をかけても採算が合います。

②開拓した企業の事例をもとに、さらに同業界の開拓を進めることができる


BtoB領域ではリード獲得にも、商談を進める際にも実際に導入いただいている企業の事例が必要不可欠です。エンタープライズ企業1社の受注は、その受注金額分の価値だけではなく未来の受注に繋がる価値を持っているといえます。

まとめ

・お手紙施策は効果が出るまで時間がかかる施策。
・他のチャネル(インバウンドリードや、セミナーリード、イベントリードなど)とは時間軸を長めに見た上で取り組むことが望ましい。
・貴重なターゲットリストを焼畑にしないように、誰に対しどのような内容のお手紙をお送りするべきかを設計し、フィールドセールスと連携の上進める。
・手間と時間はかかる一方、1件あたりの受注金額が大きく、導入事例をもとに同業界の開拓を進めることができるので、戦略的に取り組むべき。


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