登壇者と概要
スマートキャンプ 阿部さん
SALES ROBOTICS 冨田さん
インサイドセールスプラス 茂野
当日ピックアップしたセッション
A-1 テクノロジーが変えるインサイドセールスの未来 ‐ AI活用のその先とは
B-4 その手法は正しいか? 営業のプロと考える、エンタープライズ営業の本質とは
C-3 乗り遅れるな!新時代インサイドセールスの新常識 - セールスエンゲージメントの思想と実践
これらのセッションを元に、参加者3名が独自の視点を加えながらこれから意識すべき点を解説しました。以下はAIが生成した内容のまとめです。尚、以下の画像は佐藤さんに作成いただきました。ありがとうございます。
参加者層や内容の変化
今回特筆すべきは、参加者層の多様性です。従来は東京近郊からの参加が中心でしたが、今回は全国各地から、さらには一部海外からの参加もあり、インサイドセールスへの注目度の高まりを実感させる形となりました。また、業種も製造業からITサービス、コンサルティングまで多岐にわたり、インサイドセールスの活用領域の広がりを示す結果となりました。
また、内容については、基調講演やテクノロジー活用、エンタープライズセールス、セールスエンゲージメントなどをテーマとしたセッションを軸に、充実した内容となりました。特に、ワークショップでは予想を上回る申し込みがあり、より実践的な学びへのニーズの高さが明確になりました。
注目のキーワードと業界動向
ピックアップセッション
A-1 テクノロジーが変えるインサイドセールスの未来 ‐ AI活用のその先とは
AIとテクノロジーの活用:進化と課題
今回のカンファレンスで白熱した議論の1つとなったのが、AIとテクノロジーの活用についてのセッションです。特に印象的だったのは、「インサイドセールスとAIの相性」についての議論。登壇者からは「インサイドセールスは、デジタルとヒューマンタッチの融合が本質であり、適切に設計されたAI活用との親和性が非常に高い」とコメントがありました。
マルチモーダル化がもたらす可能性
テクノロジーセッションでは、AIのマルチモーダル化が注目を集めました。音声、テキスト、画像などのデータを複合的に分析・活用することで、より深い顧客理解が可能になるという展望が示されました。例えば以下のようなものが該当します。
- 通話内容の音声データ分析
- 商談時の表情認識
- 行動データとの組み合わせ分析
これらの技術が、より精度の高い商談機会の創出につながるとの期待が寄せられています。
生成AIと3Cの議論
特に興味深かったのは、RevComm 會田さんがイベント当日におっしゃられた「生成AI(Generative AI)と3C(Confirmation、Comprehension、Customization)」についての議論です。會田さんからは「生成AIにGの要素、つまり何かを生み出すことに期待し過ぎている。現在は、3Cの活用が得意であり、そこから使い始めるのが良い」とコメントがありましたが、このアフタートークイベントでも同様の発言が多く、同時に示された興味深い失敗例として、Salesforce 林田さんから紹介されていた「30分で70点のCxOレター生成」の事例も持ち込まれました。当日ご覧になれなかった方のために、それぞれを以下に記載します。
AIが得意とする3C
1. Confirmation(確認)
- 顧客のニーズや状況の正確な把握
- 過去の商談履歴の確認
- 業界特有の文脈理解
2. Comprehension(理解)
- 収集した情報の深い理解
- 顧客の本質的な課題の特定
- 組織的な意思決定プロセスの理解
3. Customization(最適化)
- 個別の状況に応じたアプローチの設計
- メッセージの細やかな調整
- コミュニケーション方法の最適化
CXOレター作成の落とし穴
個別最適化されたCXOレターの作成は、ジェネレーティブAIにとって難易度が高いタスクであり、70点程度のクオリティで満足するのではなく(結局成果につながらない)、専用のツールを活用して99点を目指す必要があります。
生成AIで短時間で作成したレターは一見それなりの品質に見えても、実際の商談では効果的でないケースが多いという結論になり、むしろ上記の3Cのプロセスを重視すべきとの意見が支持を集めました。
Intelligence vs Emotional
もう一つの重要なテーマが、IQ(Intelligence Quotient)とEQ(Emotional Quotient)のバランスについての議論でした。AI時代において、むしろ人間のEQの重要性が増しているという指摘が印象的でした。
- IQに関連する業務(データ分析、市場調査など)はAIが支援
- EQを活かした業務(信頼関係構築、感情理解など)は人間が主導
- 両者の効果的な組み合わせが成功の鍵
SDRの自動化をめぐる展望と懸念
Sales Development Representative (SDR)の業務自動化についても活発な議論が交わされました。特に以下の3点については、
- 初期スクリーニングの自動化
- フォローアップの最適化
- リード獲得プロセスの効率化
といった点で、自動化の効果が認められる一方で、次のような懸念も示されました。
- 過度の自動化によるパーソナライゼーションの欠如
- 人間的な判断が必要な場面の見極め
- 自動化ツールへの依存リスク
これらの課題に対して、「ハイブリッドアプローチ」ではどうか、という議論がなされました。当然ですが、完全にAIに任せるよりもチェックする機能として人間が入ることで品質は圧倒的に高く維持されます。AIの活用、導入については次のようなステップで考えることが有効ではないかという議論の着地となりました。
1. 初期段階での自動化活用
2. 人間による質的判断の導入
3. 継続的な改善とカスタマイズ
エンタープライズセールスの本質
ピックアップセッション
B-4 その手法は正しいか? 営業のプロと考える、エンタープライズ営業の本質とは
エンタープライズセールスセッションでは、大手企業の意思決定プロセスや組織文化の理解の重要性が強調されました。単なる製品説明だけでなく、クライアントの事業課題を深く理解し、解決策を提案していく必要性が議論されました。
特に印象的だったのは、予算確保のタイミングと商談進行の関係性についての議論です。多くの参加者が、年間予算サイクルを意識した戦略的なアプローチの重要性を再認識していました。
また、組織的な意思決定プロセスへの理解も重要なポイントとして挙げられました。キーパーソンの特定だけでなく、その組織特有の文化や慣習、ひいては歴史を理解することが、成約率向上につながるという具体的な事例も共有されました。
また、こちらのセッションについてはSALES ROBOTICS社の記事も合わせてお読みいただくと理解がより深まります。
セールスエンゲージメントの新しい形
ピックアップセッション
C-3 乗り遅れるな!新時代インサイドセールスの新常識 - セールスエンゲージメントの思想と実践
デジタルとヒューマンタッチの融合
セールスエンゲージメントセッションでは、セールスエンゲージメントの概念が大きく進化している点が議論されました。従来の「プッシュ型」の営業から、バイヤージャーニーに沿った「伴走型」のアプローチへと、その在り方が変化してきています。
特に注目を集めたのは、デジタルツールを活用しながらも、人間らしい温かみのあるコミュニケーションを維持する方法についての議論でした。例えば、自動化されたフォローアップメールに、担当者の個性を反映させる工夫など、具体的な施策が共有されました。
データ活用の高度化
実際の成功事例として、複数の登壇者が「顧客との継続的な関係構築」の重要性を強調。特に、オンラインとオフラインを組み合わせたハイブリッドなアプローチが効果を上げているとの報告がありました。具体的には以下の点です。
- 行動データに基づく最適なコンタクトタイミングの特定
- 顧客の興味関心に応じたコンテンツの提供
- 商談履歴の分析による提案の質の向上
業界の課題と解決への道筋
人材育成の重要性
インサイドセールスの専門職化が進む中、体系的な人材育成の重要性が多くの参加者から指摘されました。特に以下の点において、バランスの取れた育成が求められています。
1. テクニカルスキル
- デジタルツールの活用能力
- データ分析力
- 商材の専門知識
2. ソフトスキル
- オンラインコミュニケーション力
- 問題解決能力
- エモーショナルインテリジェンス
組織設計の最適化
拡大するインサイドセールス組織をいかに効率的に運営していくか、についても重要なテーマとして議論されました。特に、チーム構成の最適化、KPIの設定と評価方法、マネジメント層の育成については多くの議論がなされました。
組織設計や評価については、一定変化することが前提となるため、これという答えにはたどり着くことがありません。しかし、だからこそ時代や組織にフェーズに合わせて最適解を考え続けることが重要となるのです。
次回への期待
2025年にも実施予定のInside Sales Conferenceでは、より実践的なワークショップの増設や、参加者同士の交流機会の拡充が検討されています。
1. 実践的なスキルアップセッションの拡充
2. 業界別の分科会の設置
3. グローバルな知見の共有機会の創出
上記のような議論がなされましたが、今回のニーズも強かったワークショップの拡充、最新の取り組みの共有など、これまでよりも更に実践的で先進的な会にすべき、ということで意見が一致したように感じます。
総括
今回のInside Sales Conference 2024は、インサイドセールスが単なる営業手法から、ビジネスの成功に不可欠な専門職へと進化していることを示す機会となりました。AIやテクノロジーの進化と共に、人間ならではの価値提供の重要性も再確認される機会となり、業界の更なる発展への期待が高まるカンファレンスとなりました。
また、参加者同士のネットワーキングを通じて、業界全体の知見が共有され、インサイドセールスコミュニティとしての結束も強まりました。
私たちインサイドセールスプラスは、今後もこうした学びと交流の場を提供し続けることで、インサイドセールス業界の発展に貢献してまいります。次回のカンファレンスでも、皆様との有意義な出会いを楽しみにしています。
追記:新BANT思考
従来のBANT思考は、Budget(予算)、Authority(決裁権)、Need(ニーズ)、Timeframe(時期)の4つの要素を確認することで、営業活動の優先順位を決定し、受注確率を高めるためのフレームワークでした。しかし、現代の複雑なビジネス環境、特にエンタープライズセールスにおいては、この従来のBANT思考だけでは不十分とされています。
そこで生まれたのが「新BANT思考」です。明確な定義があるわけではありませんが、以下のような要素が重視されています。
- 顧客中心主義: 顧客の課題やニーズを深く理解し、それに基づいた提案を行うことが重要視されます。予算や決裁権よりも、顧客の真のニーズを探ることから始めます。
- 関係構築: 信頼関係を築くことが、長期的なビジネスにつながるという考え方が重視されます。単に商品を売るのではなく、顧客のビジネスパートナーとなることを目指します。
- コンサルティングセールス: 顧客の課題解決に貢献するためのコンサルティング能力が求められます。製品知識だけでなく、業界知識やビジネス全般に関する幅広い知識が重要になります。
- バリュー・ベース・セリング: 製品やサービスの価値を明確に示し、顧客に納得感を与えることが重要視されます。価格競争に陥ることなく、顧客にとっての真の価値を提供することに focus します。
- 長期的な視点: 短期的な売上目標だけでなく、顧客との長期的な関係構築を目指します。LTV(顧客生涯価値)を最大化することを目標とします。
- データ活用: 顧客データや市場データを分析し、より効果的な営業活動につなげるデータドリブンなアプローチが重要視されます。
- 多様なステークホルダーへの対応: エンタープライズセールスでは、決裁者だけでなく、様々なステークホルダーを巻き込む必要があります。それぞれのステークホルダーのニーズを理解し、適切な対応を行うことが重要です。
- 見計らう力: 顧客の状況や社内事情を鑑み、適切なタイミングで適切なアクションを起こす「見計らう力」が重要とされています。
従来のBANTは、営業側の都合を優先した考え方でしたが、新BANT思考は顧客中心の考え方です。顧客との長期的な関係構築を重視し、顧客の成功に貢献することで、結果として自社の売上向上につなげるという考え方です。
特に、インサイドセールスにおいては、顧客との最初の接点となるケースが多いため、新BANT思考に基づいた丁寧な対応が重要になります。
具体的には、以下のような行動が重要になります。
- 徹底的な事前リサーチ: 顧客のビジネスモデル、業界の動向、競合他社の情報などを事前に徹底的に調べ、顧客のニーズを予測します。
- ヒアリング重視: 顧客の課題やニーズを深く理解するために、丁寧なヒアリングを行います。一方的に話すのではなく、顧客の話をじっくりと聞き、共感することが重要です。
- カスタマイズされた提案: 顧客のニーズに合わせて、個別にカスタマイズされた提案を行います。テンプレート化された提案ではなく、顧客の状況に合わせた最適なソリューションを提供します。
- 継続的なフォローアップ: 一度提案して終わりではなく、継続的なフォローアップを行い、顧客との関係性を維持します。顧客の状況変化に合わせて、柔軟に対応することも重要です。
- 情報提供: 顧客にとって有益な情報を積極的に提供することで、信頼関係を構築します。業界の最新動向や競合他社の情報などを提供することで、顧客のビジネスに貢献します。
新BANT思考は、単なる営業手法ではなく、顧客との関係構築を重視したビジネス哲学とも言えます。AIを活用することで、データ分析や情報収集を効率化し、人間はより顧客とのコミュニケーションに focus することができます。新BANT思考とAIを組み合わせることで、インサイドセールスの効果を最大化することができるでしょう。