はじめに
今回は下記のような方たちを想定して執筆しています。
● 想定読者
IS組織がないが、直近IS立ち上げを任されたマネージャー
今後ISを立ち上げていきたいと考えている経営者/事業責任者の皆さま
● 読んで得られること
IS立ち上げ時に抑えるべきCRM設計のポイントがわかるようになる
明日から改善できるCRM管理のポイントを知れる
CRM設計、というとさまざまなワークフローを組み自動化する、MAと連携して架電のみではない効率的なアプローチを実現する、などをイメージされるかもしれません。ただし、立ち上げ段階においては全て不要です。
難しく考えずやれることから愚直にやっていきましょう。難しく考えると心が折れます。(そして思ったより意味なかった、ということも少なくありません)そのため、今回は抑えるべき基本のポイントに沿って解説をしています。まずはこれだけ実施できればISの可視化という点では十分な効果が得られるはずです。
なぜシンプルな設計からはじめるのか
上記の通り、難しく考えると心が折れる、つまり運用に乗らないケースがほとんどです。そのため、まずはスモールゴールを置いて少しづつレベルアップしていくことが大事です。
例えば、
1st :属人化したアクション管理をCRMに集約し、アクション管理をチームで共有、可視化する
2nd :商談獲得数、アクション数などの予実管理をスプレッドシートからCRMに移行する
3rd:CRMを活用してオペレーションの自動化を実現する
など段階を踏んだゴール設定をすることでチームとしても少しつづ成功体験を作ることができ、スムーズにCRM活用の土壌を整えることができます。
最初に取り組むべき3つのポイント
立ち上げ段階においてやれなければならないことは下記の3つだけです。
● リードマネジメント
● アクションマネジメント
● 成果の可視化
まずこの3つを可視化できれば大きく成果が改善できると思います。順を追って解説していきます。
①リードマネジメント
リードマネジメント、つまり発生したリードの対応ステータスがどういう状況にあるか、を常にCRMで最新化し可視化できるようにしましょう
● 新規リードの対応は終わっているがネクストアクションがわからない
● メールだけされておりその後の返信状況などは不明
● 架電されたログはあるが継続対応するのか、終了しているのかわからない
上記のような状況になってしまうなど、意外とやれていない企業が多いです。
そのためリードマネジメントを行うだけで、
● 対応漏れしていたリードの可視化がされ、そこからの商談数が増加する
● 一度接点を持てた企業への後追いから商談化するなどIS起点のナーチャリングが回り始める
など比較的早期に商談数へのポジティブな変化が生じるはずです。弊社でも新規リードに対してメールや各営業が気づいた時に電話をしていただけ、といった状況の企業様の場合、架電の徹底とリードマネジメントのオペレーションを整えるだけで総じて初月から商談数ベースで1.5倍程度増加する、といった事例も多くあります。
<取り組むべきこと>
まずはCRMに「リードステータス」の項目を用意してステータスの共通認識をチーム内で作りましょう。
例えば下記のような項目を作成し、それぞれどのタイミングでフェーズ変更するのか、の定義を作成するのがお勧めです。
● 新規
● アプローチ中
● 日程調整中
● 商談獲得
● 未接触
● ナーチャリング(ネクストアクションなし)
※「ナーチャリング理由」も同時に選択
● ナーチャリング(ネクストアクションあり)
※「ナーチャリング理由」も同時に選択
● 対象外
※逆営業、営業、対象外など
別項目にてアポにならなかった理由、なども選択式で項目を用意できると後々のハウスリスト作成時などに活用できます。
例えば下記のように詳細にセグメントしたハウスリスト作成なども容易になります。
過去商談済みなど接点のある企業
ネクストアクションが握れている×検討に至った課題感(受注しやすい課題感を抽出)
ネクストアクションが握れていない×検討に至った課題感(受注しやすい課題感を抽出)
webマーケ、展示会などでリード情報を取得したのみのリスト
リードソース×失注要因(会話できており、アプローチしやすいリードを抽出)
リードソース×資料請求の目的
リードソース×役職
● ナーチャリング理由(例)
● 時期ずれ
※来期以降であれば検討できるが今はできないため、商談化しない、など先方都合で現時点では商談にならないもの コストネック
● 競合導入
● 個人興味での情報収集、など
②アクションマネジメント
リードの状況を可視化したら次はアクションを可視化し、どのようなアクションを行い、リードステータスが変更されているのか、次はどのようなアクションが必要なのかを可視化していきましょう。
※Salseforceであれば「活動」、hubspotであればアクティビティ<コールに記録を残していくのがお勧めです。
アクションマネジメントを実施することで、
● 対応漏れによる機会損失の防止
● ネクストアクションの明確化
● 対応状況のチーム内での共有の円滑化
● 将来的なナーチャリング時の参考情報の蓄積
などの効果を得ることができるため必ずチーム全体として徹底するようにしましょう。
<記録すべき項目>
● 未接続
※不在、留守電、受付突破できない場合
● 再架電必要
※本人接触したが、会議中など再度架電必要な場合
● 商談獲得
● 失注
※有効会話だがアポ獲得できなかった場合
※詳細な失注理由はリードステータスで管理
● 対象外
※退職、別の人物が出るなど
■ 後任の連絡先などが確認できた場合は新規でリードを作成しましょう(これもリード獲得してのISの成果です!)
先程のリードステータスと項目が被らないようにあくまで「こちらのアクション結果」を記載する項目として設計をしましょう。
また、未接続でネクストアクションがある場合もto doやタスクなどに
● いつ
● 誰に
● どのような
連絡をするのかを明記しましょう。例えば下記のようにCRMのタスクが残っていると誰が見てもネクストアクションが明らかになります。
<メールの残し方>
メールについても基本的には送信した履歴は全件CRMへ紐付けます。
● 以前、別担当からメールしており断っていた
● メールで検討状況を返信してくれていた
などの顧客状況がわからず架電してしまうと顧客体験の悪化につながります。そういった事象を防ぐためにもメールとCRMは連携し、基本的にCRMから送る、ないしは拡張機能を活用して必ず紐づける、をチームとして習慣化していくことが大事です。
参考:Salseforceのメール連携方法
③成果の可視化
上記で可視化してきたアクティビティをチームとして参照するためのダッシュボードを作成していきましょう。まずは最低限の項目をダッシュボードで可視化し、徐々に細かい先行指標やマーケと連動した項目を設計し作成していくのがよいでしょう。立ち上げ段階としてはまずは下記のような項目を可視化します。
<ダッシュボード基本項目>
● 月次アポ獲得数
● 月次リードソース別アポ獲得数
● 月間アクティビティ数
※架電メールの合計
● 月次/週次/日次それぞれの架電結果
※アクションマネジメントで作成したコールの成果別に積み上げで見れるとBEST
● 月次/週次/日次の発生リード数
※ISの成果が左右されやすいポイントのためISでも細かく追っていくべき指標
● コストネック
● 競合利用
● 個人興味での情報収集
これらの可視化が進むことで、以下のようなPDCAを回しやすい状況が作れるようになります。
● 歩留まりのいいリードソースへの架電リソースのアロケーション
● 商談獲得数とリード獲得数の相関を分析した上での打ち手の検討/実行
まとめ
以上が「IS立ち上げ時のCRM設計ポイント」でした。立ち上げ段階においては難しく考えすぎず、以下を意識することが重要です。
● まずはシンプルな設計で、最小限の項目(現場負担の少ない形)を作成していく
● 運用に乗せることを最優先にして、可視化していく意識をチームに醸成していく
● しっかりとやるべきことをやりきる
このフェーズにおいては自動化するなどの飛び道具的なものは存在せず、マネージャーが率先垂範していくしかないないので、愚直にやりきっていきましょう。ぜひ本記事が参考になれば幸いです。
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