組織と体制
当社は非常に少数精鋭な体制をとっています。フィールドセールス、インサイドセールス、マーケティングは一つのグループに所属しており、スピード感をもって質の高い連携をとっているのが特徴です。
まずは展示会の準備ですが、弊社ではマーケティング担当1名とアシスタント1名ですべてのオペレーション設計と準備を実施しました。
準備期間は会期の約2ヶ月半前、通常業務を行いながら十分に対応できました。初めての展示会出展で成果を出すために重点的に準備を行ったのは次の3点です。
・目標設定
・参加社員を巻き込んだ“お祭りごと”化
・オペレーション設計
それぞれについてお話ししていきます。
目標設定
まずは目標設定についてです。マーケティングファネルで考えた際、最上段にくる来場者数はコントロールができないものであり、展示会の特徴や開催時期、天候にも左右されます。
<展示会チャネルにおけるファネル>
▼展示会への来場者数
▼キャッチ数(お声がけして足を止めてくれた数)
▼リード獲得数
└名刺交換のみ
└立ち商談
└ブース内着座商談
▼有効リード数(追客対象数)
▼商談獲得数
▼案件化数
▼受注数
いずれの指標も重要ですし、それぞれの転換率も大切です。しかし、初出展で精度高く指標を決めるのは非常に難しいです。結論としては、展示会会期中の目標はリード獲得数と商談獲得数に絞ってスタートすることをおすすめします。
※数字はあくまで例です
理由としては、展示会中にリアルに進捗を把握できるからです。これらを運営側が把握することで、当日のオペレーションの変更なども対応できます。
リード獲得数は、一般的には来場者数の5~10%程度が目安と言われています。当社は、同展示会の直近開催会に出展していた、お付き合いのある企業やベンダーさんなど、とにかく情報収集を実施。顧客ターゲット層も近い企業様の実績をもとに110%の数値をリード獲得目標としました。
商談獲得数は、「①当日の着座商談数」+「②追客で獲得する商談数」です。
①はリード獲得数同様に他社実績をもとに算出、②については当社のSDRの転換率にもとづいた設定にしました。その他の構成要素ももちろん大切です。、目標設定はせずとも実数はきちんと振り返りのために把握しておきましょう。たとえばの、チラシやノベルティの配布数は定量化できます。数値を把握しておくことで、次回以降の出展の際の目標設定に活かすことができます。
参加者を巻き込んだ“お祭りごと”化
当社は少数精鋭の組織です。マーケティングチーム以外にも、インサイドセールス、フィールドセールスのリソースを借りて当日運営を行います。
ちなみに、当社はコンパニオンや外部メンバーではなく、すべて自社社員で展示会のブース対応をしています。コストの観点もありますが、マーケットの一次情報を収集し顧客解像度を高める好機なので、積極的に自社メンバーに参加してもらいたいという考えです。
そこで、展示会に参加するメンバーをいかに巻き込み、一丸となって設定目標を達成するか。このモメンタムづくりが重要と考え、会期前、会期中にこのようなことを行いました。
会期前、事前キックオフ
会期の1、2週間前を目安に、参加メンバー向けにキックオフMTGを開催します。このキックオフの目的は、展示会での成果目標達成に向けたマインドセットと、オペレーションなどの細かな説明です。
<キックオフMTGアジェンダ>
・展示会出展の目的
・成果目標
・展示会概要
・オペレーション共有
※キックオフ資料の一部抜粋です。これさえ見れば当日対応に迷わないマニュアルブックにしています。
会期中、リード獲得数と商談獲得数のリアルタイム計測
これらの指標を、会期中2時間おきに集計し、参加メンバーへ進捗を共有していました。
昨今の展示会は名刺よりもQRリーダーや指定の名刺アプリなどDX化された運営になっていることが多く、出展社管理画面にてデータ蓄積が可能です。当社も形式の展示会を選びました。これにより大多数のリードはデジタル形式で獲得できます。
一部の名刺やヒアリングシートのみ、データ送信のオペレーションを整えてデータ化を進めていました。これらを遠隔でアシスタントが集計し、参加メンバーに定期的にお知らせしてくれるという形です。目標に対する進捗がわかりますので、遅れがあれば声掛けの量を増やしたりブース対応のシフトを調整したりなど、その場で軌道修正できるのがメリットです。
ポイントレースでenjoy-thinking
参加メンバー個々人の成果も可視化し、楽しく競いながら参加してもらおうとポイントレースを開催しました。優勝者にはちょっとしたご褒美つきです。どうせやるなら楽しく、をテーマに運営しています。
ご参考までに、このようなポイント設計をし、稼働時間当たりの獲得ポイント数と、総獲得ポイント数でそれぞれ競い合いました。
・次回商談獲得 :10pt
・着座商談実施 :5pt
・立ち商談実施 :3pt
・リード獲得 :1pt
着座商談に値するMQL条件をあらかじめ定義しておくことで、貴重な商談ブースを無駄にすることはありません。また、立ち商談も、見込み度合いに応じて調整を行うことが出来るので効果的です。
生粋のセールス大好きな当社メンバー達、レースごとは全員燃えるタイプです(もちろん私も)。目標に対する成果計測と合わせて、戦況(ポイントレースの順位)もリアルタイムで速報を出し、大いに盛り上がりました。
また、成果やポイントの共有は、展示会会場にいるメンバーだけでなく、全社向けに発信。リアルな顧客の声の共有や、トピックスを添えることで、社内からも応援や称賛のメッセージが寄せられました。こうして、会場内外含めた一体感を醸成することでモメンタムづくりを行いました。
※Teamsのチャンネルで、こまめに成果やTOPICSの共有を実施しました。
オペレーション設計
展示会では、出展サイズに関わらず数百件単位でのリードが獲得できることでしょう。そこで、展示会での追客方針は「リードの優先順位を明確にし、イチ早くアプローチすること」に重きをおき、オペレーションを考えました。
ネクストアクションの明確化
まずは会話で行われたヒアリング情報を、速やかに適切にリード情報に連携することからです。
当社では、以下を実施しました。
①ヒアリング内容をフォーマット化
└着座商談、立ち商談実施リードはヒアリングフォーマット提出を必須に
└名刺情報の交換のみのリードは一律ISによる追客へ
②ヒアリング情報は、ヒアリングシートor専用チャネルで提出
③SFAへの即日情報反映
ヒアリング内容は絞ってフォーマット化しました。PC、スマホ、バインダー+紙など、接客時に使用するアイテムは制限せず、メンバーそれぞれやりやすいものを選んでもらっています。必須で入力してもらうのが、「誰が」「何をするのか」というネクストアクションです。
遠隔でデータ対応するメンバーとの専用パイプラインを設け、ヒアリングフォーマットに沿った情報、または記入済みヒアリングシートそのものの写真を担当メンバーに提出します。これを、リアルタイムでSFAに反映していきました。はっきりいって、“面倒くさい” “アナログ”な作業です。しかし、この地味な一手間こそが、即日アプローチに大事なのです。
お礼メールは当日か翌朝に
ブース訪問者への御礼メールの対応をいつにするかは迷いもありました。「展示会に足を運んだ人が、その日のうちにメールを見るだろうか?見たとして、何かアクションを起こすだろうか?」と確信が持てなかったからです。実際、私も他の展示会の視察で多くのブースを回ってみたところ、その日のうちにメールが送られてきたのは1社だけでした。しかも、ブース対応者ではなくインサイドセールス名義で送られてきたため、「あなたは誰?」という印象しかありませんでした。
そこで当社では、以下2パターンに分けました。
・次回商談獲得済or着座商談済:接客対応者が即日個別に送る
・それ以外 :マーケティングチームが翌朝に一律で送る
マーケティングチームから送るメールは、ブース来訪の御礼+改めて当社の紹介+アポイント打診の構成で、翌営業日の始業時間を狙って送ります。数ある出展企業の中から思い出していただけるよう、自社ブースや接客メンバーの特徴、ノベルティなど、視覚の記憶を呼び起こすための写真の挿入も忘れずに。
以下は翌朝に送る御礼メールの一部です。文中には商談予約フォームも挿入し、これによってインサイドセールスの稼働なしでも複数件のアポイント獲得に繋がりました。
最後に
いかがでしたでしょうか?当社は今年度から活用しはじめた展示会施策で、目標を上回る成果に繋がりました。限られたリソース、コストでも、ポイントを押さえれば十分にチャレンジする価値のある施策です。
エンSXでは、本記事でご紹介したようなエン・ジャパンで培ったセールス・マーケのノウハウをもとにしたインサイドセールス代行、ならびにセールスの育成を支援しています。エンSXへのご相談・お問い合わせはこちらよりお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。