1. インサイドセールスで商談を創出するために重要なポイント
インサイドセールスの成果を高めるために、最も重要なことは「成功者を真似る」ことです。成果を出している人の行動を観察し、そのまま取り入れることが効果的です。
成功者を真似ることの価値は、誰もが一度は耳にしたことがあるでしょう。「成果を上げている人の傍で学べば、同じ成果を出せるようになる」という話は、多くの場面で語られています。
例えば、私は入社5年目の現在でも、成果を創出している営業の商談動画を繰り返し視聴しています。お客様の心を開くトークや、揺さぶりをかけるトーク、さらに効果的な言葉選びなどを学び、自分のトークに取り入れています。
組織、チームとして再現性を持つためには、成果を出し続けている人のスクリプトを分析し、再現性を高める仕組みを作ることが大切です。
具体的には、わたしのチームの場合、ハイパフォーマー〔私自身〕のトークスクリプトを元に、状況に合わせたパターン別のトークスクリプトを作成し全メンバーが使える形にカスタマイズしました。
このスクリプトは、定期的に内容を見直しながら改善を続けており、誰もが同じ水準でトークできるような仕組みを構築しています。
図:実際に利用しているスクリプト
さらに、SMSやメールの活用例も共有し、成功事例を基にした改善策を全体で議論することで、より効率的なアプローチを追求しています。こうした取り組みの背景には、「個々の能力に依存しない仕組み作り」というビジョンがあります。トップセールスの再現性を高めることで、安定した商談創出を実現し、組織全体のパフォーマンスを底上げしています。
また、日々の業務で活用しているツールやスクリプトには、心理学的な要素も取り入れています。例えば、顧客の反応を細かく分析し、どのタイミングでどのようなフレーズを使えば最も効果的かをデータに基づいて検証しています。これにより、誰でも一定の成果を出せる基盤が整っています。
2. メンバーの成果を向上させるための分析方法
メンバー全員の成果を上げるためには、個々の課題を把握し、適切なサポートを提供することが重要です。そのために、以下のような取り組みを行っています。
1.データ分析:商談数や有効コール数などを可視化し、成果が伸び悩んでいるメンバーのパターンを特定します。
- 課題を明確にするため、活動や商談数などのデータを分析する。
- 分析結果を基に、どのポイントで改善が可能かを確認する。
例)有効コールや終了コールの割合などを精査し、改善の余地がある箇所を特定する。
2.個別フォロー:成果が出ていない場合、具体的な状況を丁寧に把握し、改善策を共に考えます。
- メンバー一人ひとりの課題に寄り添い、必要な支援を提供する。
- 成果が出ない原因を深掘りするため、終了したコールをすべて聞き、どの部分でつまずいたのかを確認する。
- メンバーが自身の課題解決に前向きに取り組めるよう、適切なサポートを行うことで信頼関係を構築する。
3.フィードバック: 問題点を共有し、改善策を提案します。
この過程で、メンバーが「自分のためにここまでしてくれる」と感じられる関係性を構築することが重要です。
- コール内容を詳しく聞き取り、メンバーに具体的なアドバイスを提供する。
- 商談に繋がらなかった場合でも、次に繋がるような改善点を示す。
- このプロセスを通じて、メンバーが「自分のためにここまでしてくれる」と感じ、主体的に行動する力を引き出す。
さらに、これらの取り組みを効果的に進めるためには、定量的なデータだけでなく、定性的なフィードバックも重視しています。例えば、メンバーのトーク内容や話し方、声のトーンなど、数値化できない要素についても細かく分析し、改善のヒントを見つけ出します。また、メンバー自身に目標を設定させることも重要です。
ただし、目標達成が難しい場合には、マネージャーが一緒に目標を再設定し、実現可能な計画を立てます。こうすることで、メンバーが自己効力感を高め、主体的に取り組む姿勢を育成しています。
メンバーが心から『成果を上げたい』という強い意志を持ち、その意志にマネージャーが伴走し続ける。こうした信頼と協力の体制こそが、成果を出し続けるチームを作る原動力となります。仕組みを支えるのは人の思いであり、思いを支えるのは仕組みです。その両輪が揃ったとき、チームはさらなる高みへと進化していくと考えています。
3. 課題を基にしたトレーニングの実践
メンバーのトレーニングでは、共通トレーニングと個別対応を組み合わせています。
1.共通トレーニング:
- 週1回のコールフィードバックとロールプレイング
- 新人に向けた半年間の知識トレーニング
2.個別対応:
- 課題の特定
メンバーの課題を観察し、メンバー自身が感じている課題とすり合わせます。
- 具体的なトレーニングの実施
例えば、クロージングで一度断られると引いてしまう新卒社員の場合、断られる場面を想定したロールプレイングを増やし、切り返しのスキルと成功体験を積むことを実践します。
- 目標の共有と達成
毎月、マネージャーとメンバーで目標を設定し、二人三脚でその達成を目指します。
これらのトレーニングは、単なるスキル向上を目的としたものではありません。
メンバーが「なぜこのトレーニングが必要なのか」を理解し、自らの成長に繋がると実感できるよう設計されています。
また、トレーニングの一環として、成功体験を積む機会を提供しています
例えば、簡単な目標を設定し、それをクリアすることで達成感を味わえるようにしています。このプロセスを繰り返すことで、メンバーは徐々に自信を持ち、大きな目標にも挑戦できるようになります。
4. 成果が出るまでの期間と実績
現在のトレーニング方法を導入したのは2023年10月からです。開始からわずか3か月で、以下のような成果が得られています。
- 目標商談化率(先輩社員:25%、新卒社員:20%)を達成したメンバーが複数名
- 最高で30%超えの成果を出したメンバーも登場
この結果は、勝てるスクリプトの存在と、迅速なフィードバック体制が大きく寄与していると考えています。
特に、トレーニング開始当初からチーム全体での情報共有を強化し、スクリプトの適用方法について詳細なガイドラインを整備したことが、メンバーの成果向上に貢献しています。
さらに、こうした成果を裏付ける具体的なデータも収集しています。例えば、スクリプトを使用した場合と使用しなかった場合の商談化率を比較することで、その効果を定量的に評価しています。
スクリプト使用後の商談化率は顕著に向上し、特に2年目以降の社員の成績が目覚ましい結果を示しています。
また、成果が出ていないメンバーへのフィードバックを実施し、さらに効果的な施策を展開しています。
5.トークスクリプトの重要性
スクリプト完成後、メンバーにその背景や私の想いを直接伝える機会がありました。
この時、メンバーの反応が大きく変わったのが印象的でした。特に「勝てる」という前向きな言葉が多く聞かれ、メンバーがこのスクリプトに対して自信を持ち始めたことがわかりました。
このような「自信を持って使えるスクリプト」の存在が、メンバーにとって非常に大きなモチベーションとなり、同じスクリプトでも自信を持って取り組めるかどうかが、成果に大きく影響すると実感しました。
今後も、このスクリプトをベースに、さらにメンバーが「できる」と感じる内容を強化していきたいと考えています。
6. 今後のビジョンと目指す姿
インサイドセールス部門では、全員が高い水準でパフォーマンスを発揮できる組織を目指しています。具体的には、以下の取り組みを進めていきます。
- 「教えられる側」から「教える側」へのステップアップ:
商談化率25%を半年以上維持したメンバーをトレーナーとして活用し、教育体制を強化します。
- 新たなトレーニングの導入:
時流に合わせた新しいスクリプトや手法を積極的に取り入れ、常に進化するチーム作りを行います。
また、ビジョンを実現するためには、メンバー全員が共通の目標を共有することが重要です。そのために、定期的なミーティングを通じて、組織全体の方向性を確認し合います。
継続的に高い成果を維持できる体制を構築しています。
7. 明日から実践したい具体的なアクション
1.トークスクリプトの共有と更新
ハイパフォーマーのトークをもとにスクリプトを作成し、全員で共有します。さらに、定期的にスクリプトを見直し、時流に合った内容に更新します。
2.声色やトーンの練習
トークスクリプトの内容だけでなく、声の抑揚やトーンを学ぶため、ハイパフォーマーのコールを視聴し、自分の型に落とし込む努力を行います。
3.成功事例の共有
チーム全体で成功事例を共有し、成果が出る具体的なアプローチを再現可能な形で広めます。
4.目標達成プロセスの可視化
メンバーが目標に向かう過程を数値化し、進捗を共有することで、達成感を味わえる仕組みを作ります。
今回ご紹介した取り組みを通じて、メンバー全員が成果を出せる環境を整え、さらなる成長を目指していきます。
インサイドセールスにおける成功の秘訣は、チーム全体で「勝てる」仕組みを共有し、日々の実践を積み重ねることにあります。
これからも、より高いレベルを目指し、新しい挑戦を続けていきます。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。