20

新時代に求められる本質的なインサイドセールスとは?

本田 洋平 | Payme2023/11/17
twitter

本記事では、インサイドセールスの本質を、自身の経験や大切にしてきた考えをもとに記事にさせていただきました。インサイドセールスの組織をもう一段進化させたい、さらにドライブさせたいと思っている方に、一呼吸おいて本質的な営業活動とは?を感じていただけたら幸いです。

本田 洋平 株式会社ペイミー所属。メルカリ、STORESにてインサイドセールス、カスタマーサクセス、仙台拠点の立ち上げなどを経験し、現在は株式会社paymeにてビジネス領域のマネージャーとして活躍。

インサイドセールスについて


かつての営業活動は架電を中心としたアプローチで、限られた情報の中で初めて接触することが大半でしたが、ここ数年はデジタルマーケティングが普及したこともあり、事前にセミナーなWeb上のコンテンツでの接触を経てコミュニケーションが始まる、ということも一般的になってきました。

しかし、時代や手法が変わり様々なツールを活用していたとしても、もしかするとそういった時代だからこそより買い手目線のコミュニケーションが必要になっているのかもしれません。その中でも、特に人として初回接点になる可能性の高いインサイドセールスの重要性は高まっていると考えています。

初回接触の重要性


インサイドセールスの役割は多岐に渡りますが、まず重要なのはお客様との初回接触です。初回接触が、商談(事業)の成果に直結することになります。このタイミングでのコミュニケーションのクオリティが、その後の商談や取引の方向性を大きく左右します。

初回接触では、単にプロダクトの特長や機能を伝えるだけでは十分ではありません。お客様が真に求めているものは何か、その背景や課題は何かを深く理解することが重要です。そして、お客様のニーズに対して、どのように私たちのプロダクトが解決策として適しているのかを伝えることが求められます。

このタイミングでお客様の心をしっかりと掴むことができれば、強固な信頼関係の第一歩になるでしょう。逆に、この機会を逃すと、再度信頼を築くのは非常に難しくなります。この初回の接触を大切にし、お客様との関係構築に全力を注ぐこと、それがインサイドセールスの真髄とも言えるでしょう。

魂を込めるコミュニケーションの技法


それでは、実際にサイトに訪れるお客様が感じている背景を想像してみましょう。サービスのLPに流入するすべてのお客様には、それぞれの課題や背景があります。しかし、信頼関係のない相手に正直に話すことはありませんし、課題が具体化していないこともあります。そんな中で機械的にヒアリングをしても成功率は極めて低く、お客様が課題を明確に把握し、その解決策として自社を検討してくださっている、という状況でもない限りヒアリングがスムーズに進むことは難しいと考えています。

そこで重要になるのが「魂を込める」ということです。これは大きく2つの要素から構成されていて、1点目はお客様に興味を持ち、お客様を知るということです。インサイドセールスは、お客様の市場、現在の状態、掲げているビジョンをしっかりと理解し、具体的な提案や解決策に落とし込む役割を果たします。

まずはお客様の市場。どれくらいの市場規模なのか、競合はどこか、優位性やシェアの状況などを調べていきます。その中でお客様の状況(財務や新しいリリース)を確認し、全体像をイメージしていきます。※ここは日々のインプットも重要になってきますので、新聞やニュース、担当業界がある方はその情報を日々収集しておきましょう。

2点目は姿勢です。人は「何を言うか」よりも「どう言うか」で感情を判断します。例えばニヤニヤしながら「転んだと聞きました、大丈夫ですか?w」というのと真剣な表情で「転んだと聞きました、大丈夫ですか?」と言われた場合、どんな感情を持ちますか?つまり、何を言うかよりも、どんな思いや姿勢でそれを問うているかが重要なのです。架電においては表情などの視覚情報がありませんので、それに変わるものは「声色」です。

お客様にヒアリングをしていく過程ではどうしても踏み込む必要があったり、少しネガティブな質問をしなければならない場合があります。そこで重要なのが「お客様の課題を解決したいと本気で願う姿勢」です。正しい姿勢で望めばそれが伝わりますし、失礼だ!とお客様に思われてしまうことも少なくなります。(私の経験上はありません)

また、お客様の質問や悩みには直接的な回答だけでなく、背景にあるニーズや課題への対応が必要です。機能の質問があった場合、単に説明するだけではなく、背景にはどんな課題や状況があるのか、それをなぜ解決したいのか、もし解決できたら目の前の方にはどんなメリットがあるのか、こういった背景に関する質問をすることがとても重要です。

お客様との会話の中で、自社のサービスが適切な提案ではない場合もあります。その場合は他の方法やアプローチを提案することで、長期的な関係を構築することができます。最終的に私たちが提供するのは、単なるツールではなく、お客様の成功を真摯にサポートする姿勢と実現可能な解決策なのです。

ロジカルとエモーショナルの組み合わせ


営業の現場、特にインサイドセールスでは、ロジカルなアプローチとエモーショナルなアプローチが求められます。例えば、ツールの機能比較をロジカルに考える場合、お客様のニーズをヒアリングした上で選定基準を明らかにし「機能」×「ユーザビリティ」×「価格」のように具体的な指標で提案します。もしそれが正しければ、「当社のサービスは他社よりも機能的で、使いやすく、かつ価格以上の価値がある」という評価を得ることが可能になるのです。

価値というのは決して一定ではありません。自社のサービスの強みを理解することは重要ですが、すべてのお客様に同じ価値を感じていただけるということはありませんので、注意してヒアリングしながら最適な提案を行うことが必要です。

エモーショナルなアプローチでは、お客様の感情や背景を理解し、共感するコミュニケーションがキーとなります。「過去に類似のツールを導入したけど、使いこなすことが難しくうまく機能しなかった」というような声に対してすぐに「私たちは、ツールもユーザビリティに特化しており、自社研修も頻繁に行っているためサポートも万全です。」という提案をしたとしても信頼されません。

まずはお客様の苦労に対して共感します。そのうえでなぜ失敗したのか、そこでの苦労はどんなものだったのか、自社であればそれに対してどんなサービス提供が可能なのかをお伝えし、そのうえで熱意を伝えます。ただ機能やサポート内容を説明すれば良いということではなく、そこに熱意を加えることでお客様に感情に訴えることができると考えています。

お客様も人間です。自信を持って提案してくる人とそうではない人に対しての信頼感は違うはずです。そのためにも自社のサービス内容や成功事例、実際に運用が成功したお客様のリアルな声、サポートの具体的な内容などを詳細に理解しておく必要があるのです。

ロジカルとエモーショナルは、対立するものではなく、相乗効果を生む組み合わせです。私たちが目指すのは、ロジカルなデータと事実をもとに、ヒトとヒトのコミュニケーションで信頼関係を築くことです。この両方の要素を融合させ、本質的なインサイドセールスの営業活動を実現していくことを目指しています。

生成AIとインサイドセールスの新たな一手


生成AI元年である2023年、人工知能や機械学習の技術進化により、私たちの環境も大きく変わりつつあります。生成AI(大量のデータを学習し、それに基づいた新しい情報や文章を生成する技術)の登場は、インサイドセールスのアプローチそのものに革命をもたらしています。私も今までは、SFA/CRMにあるデータを自身で分析し、アプローチ手法やトーク内容をブラッシュアップしていましたが、生成AIの技術を活用することで、お客様が抱える問題やニーズに対する洞察を瞬時に生成することが可能になりました。

インサイドセールスでの初回接触は、先ほどもお伝えした通り非常に重要です。ここで、生成AIの力を借りることでお客様一人一人の背景やニーズに合わせたパーソナライズされたコンテンツや提案を瞬時に生成し提供することが可能になります。

生成AIの具体的な活用方法としては、様々なユースケースが考えられます。

① 初回のお問い合わせ時の対応
フォームで収集したお客様情報を基にパーソナライズされた内容を一次回答

  • 製品関連の問い合わせ: 製品機能や仕様に関する問い合わせに、即時に詳細情報や関連ドキュメントを生成して回答。
  • 料金・費用に関する問い合わせ: お客様の要望や使用状況に基づいて、最適なプランや割引情報を自動生成し提案。
  • 導入・実装関連の問い合わせ: 導入や実装に関する具体的な手順、必要なリソースや時間、事例などを基に情報を自動生成し回答。


② ナーチャリングメール
お客様それぞれの検討フェーズに合わせたメール文面の生成。初回の興味表明から購買決定までの過程で必要な情報やコンテンツを生成。

  • 興味レベル別配信: お客様の興味レベルに合わせて、情報量や内容をカスタマイズしたメールを生成。
  • 製品アップデート情報: 新しい製品や機能のアップデート情報を、お客様の使用履歴に基づいてカスタマイズして配信。


架電前の事前調査
業種や業界に特化したお困りごとや関連情報をサジェスト。

  • 業界特有の問題提供: 業界情報に基づき、一般的な課題やニーズをサジェスト。
  • 関連ニュース提供: 業界や関心に関連する最新のニュースやトピックスを取り上げ、会話のネタとして提供。


高精度のロールプレイング
ベストシナリオを基にした、忠実な商談トークロールプレイング。

  • 商談シナリオ生成: お客様の背景情報や過去の行動に基づいた、リアルな商談シナリオを生成。
  • カウンタートークの準備: 生成AIが事前に予測したお客様の反応や質問に合わせて、準備された反論や説明を提示。


最終的な関係値の構築は、ヒトの持つエモーショナルな能力と、生成AIが提供する情報の共創によって実現されます。生成AIとの共創により、私たちはより深くお客様に魂を込めるコミュニケーションに専念できるようになり、今後のインサイドセールスの新たな進化の可能性を示していると考えています。


今後の展望


インサイドセールスの領域は絶えず進化しています。そして、その中心には「お客さまとのコミュニケーション」が位置しています。技術やAIの進化やツールの変遷は、このコミュニケーションの質を高めるためのサポートとして存在するのです。もちろん、近年の生成AIの導入は、私たちの業務において多くの変革をもたらしています。生成AI導入の目的は、単に作業効率を上げるためだけではありません。お客さまとの繋がりをより深化させるための一助としての位置付けが必要です。

私たちが目指すべきは、テクノロジーを活用しつつ、お客さまとの関係を深めることです。生成AIはその手助けをしてくれるツールの一つに過ぎません。真のインサイドセールスの価値は、テクノロジーを駆使しながら、ヒトの心を感じ取ることにあると私たちは信じています。この先、技術や生成AIの進化は続くでしょう。その中で、お客さまとの繋がりの重要性を持ち続けるためには、心を込めたコミュニケーションが必要不可欠であり、これからも私たちはその本質を追求していきます。

最後に、私たちは生成AIを使用した営業支援ツール「セールススクラムAI」を開発しています。ヒトはヒトが得意な領域に専念し、生成AIは生成AIが得意な領域を担当します。いままでお話しした、本質的な営業活動を実現させるお手伝いができればと考えています。少しでも興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にご連絡ください。私たちと共に、新しい営業活動を創造していきましょう!

20

おすすめ記事

あなたの知識や成功/失敗体験を記事にしてみませんか?

Inside Sales Plusはより身近で実践的な情報を求めています。メール件名の工夫やトークの一部など、数百文字から記事にすることが可能です。ぜひお気軽にご応募ください。

記事寄稿

©︎2023 InsideSales Plus Inc.