10

立ち上がりにつまずかない、たった1つのポイント

内藤 陽太 | infobox2024/6/23
twitter

本記事は、インサイドセールス業務に携わっている新入社員/若手社員/インターン生やインサイドセールス業務経験の浅い方向け、またはこうしたメンバーをマネジメントされる方に向けた記事になります。「事例も覚えた、スクリプトも覚えた、ロープレもした、事前準備にホームページなどもキチンと見ている、それでもなぜか成果がでない。」「なぜか『とりあえず資料送ってください』といつも言われてしまう。」「4月頑張ったけどうまくいかず、向いてないのかな、なんて気落ちしている。」そんな方がいましたら本記事を読んでいただきたいと強く思います。大丈夫です。誰でも通る道です。必ず抜け出せます。

内藤 陽太 株式会社インフォボックス所属。一部上場企業からセールスフォースへ転職後、インサイドセールス、セールスとしてのキャリアを積む。その後、VISITS Technologiesにてインサイドセールス、カスタマーサクセスチームの立ち上げを担う。現在はインフォボックス1人目のbizdevとしてプロダクト開発からセールス、CSまで幅広く活動中。

結論

うまくいかない原因は「お客様が見えなくなってしまう」ことにあります。そこで改善すべきたった1つのポイントは「お客様の心情を想像しながら話をする」ということです。空回りしてしまう背景と具体的な対策について後述していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

空回りの背景


優秀で真面目な人ほど、言われたこと、習ったことを完璧に実践しよう奮闘する傾向があると感じています。例えば「トークスクリプトをしっかりと言おう(読もう)」「ヒアリング項目(ニーズ、予算感など)をきちんと聞こう」などがあります。もちろんこれは間違いではないのですが、あまりにも忠実に実践しようとするあまり、以下のような会話になってしまいます。

例)
お客様「はい、お電話かわりました」

Aさん「お世話になっております!(元気に) 私○○株式会社の○○と申します!実は最近○○という課題を抱えた○○という御社に似たような企業様が△△△という効果をあげた事例がありまして是非お伝えしたくいまお時間よろしいでしょうか?」

お客様「結構です、いま検討していません。(ガチャ)」

スクリプトを忠実に再現したAさんの、一体なにがいけなかったのでしょうか?ポイントは「すべてのお客様に同じトークをしてしまっている」という状況です。

・1年ぶりに電話をかけた人かもしれません。
 →そもそも社名を覚えてない

・媒体から資料をダウンロードしただけかもしれません。
 →どの会社の資料か認識していない

・ある時期たくさん見ていたウェビナーのうちの1つかもしれません。
 →複数参加したので区別ができていない

こうした中でいきなり「株式会社◯◯です!」「御社の課題が…」という話をされてもお客様の心の中は、「(ちょっとどなたですか?なんで私の連絡先知っているんですか?)」という状況になっていることが非常に多いので注意する必要があります。

ですから、うまくいかないときほど「聞かなくてはいけない、話さなくてはいけない」と必死になるのではなく、お客様の心情を想像しながら話をすることが大切です。では実際にそうすれば良いのか、具体的な対策ご説明していきます。

脱却するための具体的な対策


まずは営業支援システム(以下、SFA)を確認するところからはじめます。

 いつ (初回接触日、最終接触日)
 どこで (リードソース)
 何を (最終活動履歴)

上記をしっかりと読み込み、開口一番お客様にお伝えすることを個別に練り込むことがポイントになります。SFAを導入していればこの情報を把握することも容易かと思いますが、もし導入していない場合でも「前任者に聞く」「名刺管理ソフトにある情報から、リードが発生した時期など想像する」といった方法がありますので、まずは情報を集めてから電話するとよいと思います。

また、SFAが導入されていて履歴が残っている場合でも、前任者にヒアリングできる状況(社内のチャットツールなど)であれば、ヒアリングして詳細な情報を聞いてみましょう。情報が多ければ多いほど、お客様の信頼を獲得することに繋がります。

では、ここで実際にいくつかの例をあげて解説いたします。(あくまで一例です。このトークがあれば大丈夫などとは思わず、考えるプロセスを参考にしていただけますと幸いです。)

例1:展示会でブースに来ていただいたお客様、名刺あり、ヒアリング情報なし
展示会はたくさんのブースよほどの有名企業でない限り社名をお伝えしてもピンとこない方がほとんどです。思い出していただきつつ、お客様が答えやすい質問をするとよいです。

「◯◯様、【自社名】の【お名前】と申します。一昨日の【展示会名】では弊社ブースまでお立ち寄りくださり、ありがとうございました。今日はお立ち寄り頂いた御礼と◯◯様のご関心に沿った情報提供ができればと思いご連絡いたしました。弊社は【特徴を一言で】の会社にはなのですが、弊社のことは後ほどご説明させていただくとして、ちなみに◯◯様はどういった情報をお探しで展示会に来場されていたのですか?」

解説
展示会には100%理由があって、意思をもって来場しています。まずはどういったジャンルに関心があるのか、どんな情報がほしくて来場したのか、もしくはなにか具体的な課題感があるのかを確認をしましょう。展示会は同時開催でセールステックもあれば、HRテックもあります。業界、ツール、課題/関心のジャンルをお伺いしながら役立てる提案ができそうであれば、「実は◯◯といった事例がありまして」と結びつけていくとよいです。

例2:3ヶ月前に比較サイトの資料ダウンロードをしたお客様(課長)・前任の活動履歴あり(情報収集中と仰せ、という会話内容の記録がある)
過去接点のあったお客様に再度連絡をする、というシーンです。このケースもいつどんな資料をダウンロードしたかといったことは覚えていらっしゃらないケースがほとんどなので、開口一番お客様にお伝えすることを個別に練り込む必要があります。

「◯◯様、【自社名】の【お名前】と申します。■ 月に◯◯様と弊社の【前任者】がお電話をさせていただいておりまして誠にありがとうございました。そのとき【資料のジャンル】に関する資料を【媒体名】から◯◯様がダウンロードされたことをきっかけに弊社【前任者】とお話させておったかと思いますが、ご記憶にございますでしょうか?本日ご連絡させていただいたのは、【資料のジャンル】に関する情報収集を当時されていらっしゃったので、◯◯様のご参考になりそうな事例がありご連絡をさせていただきました。」

解説
まず思い出していただけなかったとしても丁寧に経緯をご説明することで、相手の警戒心を取り除いていきます。そのうえで、「お客様が集めていた情報に関連する事例が見つかったので、お役にたてるのではないかと思い、思わず受話器をとりご連絡しました」という意図を伝えようとすることが大切です。

「で、どんな事例なの?」と聞かれた際に、納得感のある説明ができないと台無しなので、事前に想定しておきましょう。セールスイネーブルメントに関する資料をダウンロードされている方に、自社サービスのSFAをいきなり提案するのではなく、「当時◯◯様はセールスイネーブルメントに関する情報を集めていらしたので、組織営業力の底上げを行い、営業メンバー全員の成績が■ %向上した事例などご参考いただけるのではないかと〜」といった具合に【資料のジャンル】と【事例】の紐づけが大切になります。

なぜいつも「とりあえず資料送ってください」と言われてしまうのか


もちろんすべてのアクションが商談獲得につながるわけではありせんが、もしこのようなNG回答が多いのだとすると、自分自身でお客様の台詞を誘導してしまっている可能性があります。「なぜあなたに、なぜいまか」を含んだトークになっているか見直してみるとよいかもしれません。

逆の立場で考えてみると想像しやすいのですが、例えば1年以内に商談をしたことがない、相手の会社名を聞いてもピンとこない接触密度が薄い人から「弊社は【サービス名】を提供しておりまして、ぜひ詳しくご案内させてください。」と連絡があったら「んー、ではカタログだけまずは見せてください」 と考えませんか?
よく知らない人から、よくわからない内容の電話がかかってきたら、自分に関係あるか判断できないのでとりあえず情報(資料)をください、と考えるのが自然なので、お客様の台詞を自ら誘導してしまっていることになります。

顧客視点のアプローチが重要


インサイドセールス業務をされている方ならもしかしたらご覧になったことがあるかもしれませんが、お客様の状況ごとに「なぜあなたに」「なぜいまか」についてわかりやすくポイントをまとめたものが以下になります。

すべてのリードにこのトークを準備し、対応していくのは効率が悪いと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、私はまったく違う印象です。無作為なアウトバウンドでの商談獲得率はおよそ1%が平均と言われています。しかし、このようにしっかりとした準備をして架電することで、商談獲得率はもちろん、お客様との関係が続くことで、お客様に変化があった際に検討のテーブルに乗せていただける確率も上がります。

また、しっかりとSFAを運用していれば過去の履歴から「なぜいま、あなたに」を作り出すことも簡単になりますし、繰り返し行うことで自然に実践できるようにもなります。

ですから、1日に限定して言えばもちろん効率は悪いかもしれませんが、個人が、そして組織として積み上げていくことで最終的な成果を最大化することが可能になると信じています。もちろん、効率を上げる方法はそれだけではありません。業界動向を簡単に調べることができるサービスや、infoboxのように現在の利用サービスや他の情報を取り入れることで、さらに効果的、効率的に実行することが可能になります。

ぜひ、お客様目線で、お客様にとって自然で価値のあるコミュニケーション=心情を理解した行動を起点に、成果の出るインサイドセールスを目指していただきたいと思います。本記事をご覧いただいた方にとって、少しでも参考になるところがあれば幸いです。最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

©︎2024 InsideSales Plus Inc.