Inside Sales Summitとは?
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Inside Sales Summitとは、SALES ROBOTICSによる、インサイドセールスを「学べる、交流する、発散する」すべての”つながり”を提供するオフラインイベントです。セールスやマーケティングのリーダー、業界の専門家による最新のトレンドや事例、ビジネス成果を共有するセッションから参加者同士の交流など、ビジネスに役立つ関係を構築できる新たな「場」を目指すべく立ち上がりました。
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※公式から引用、一部省略。
なぜいまオフラインイベントなのか?
新型コロナウィルスの影響で、多くのイベントや展示会が激減し、買い手側の情報収集も、売り手側の情報発信も、その多くがオンラインへ切り替わって行きました。2020年より前の時代では、ウェブセミナーでの集客が難しく、開催あたり数名の参加者ということも珍しくありませんでした。それが2020年をきっかけに大きく変わり、いまでは数十名、イベントによっては数千名がオンラインで参加する時代へと変化しています。
「情報を共有する」という一点においては、オンラインに勝る方法はないと思います。企画から実行までのスピードが速く、開催場所の確保や運営の負担が少ないといった開催側のメリットや、遠隔地からの参加、隙間時間での参加、家事をしながら耳だけ参加など、ライフスタイルに合わせて選択肢が選べるといった参加者側のメリットも多く存在します。
ですから、これからのオフラインイベントは「オフラインで開催する意味」に答えがないと難しいというのが筆者の考えです。ではそんな中でなぜオフラインイベントなのか、オフラインで開催する意図や意味はどこにあるのかについて主催側の意見を参照しながら考えていきたいと思います。
目的は「インサイドセールス従事者の交流不足の解消」
主催の冨田さん曰く「インサイドセールスは他の職種に比べて横とのつながりが少ないと感じています。それは①従事する人がまだまだ少ないこと、②社内や自宅内で業務が完結するので交流する機会が少ない、③長期間従事する人が少なく発信側、柱になるような人が少ないという課題が上げられます」とのこと。
一方でインサイドセールスの方々は情報交換や、交流に積極的であるという意見もよく耳にします。それは、自分たちの取り組みが正解なのかわからないという意識的な問題、事業の課題や取り組みの共有によって業績を上げたいという業務上の問題、そして自身のキャリアをさらに磨きたいという個人的な問題などから求められていると考えます。
この課題におけるオフライン開催のメリットは以下の3つではないでしょうか。
・ゆるく広いつながり(知り合い)から、さらに深い関係構築(仲間、友達)へ変化することで、相互支援や不安の解消、さらに活発な情報交換が生まれる。
・一方的な情報発信から、議論や意見交換へ変化することで、ナレッジがより深まり、さらに効果的な取り組み、施策が生まれる。
・人をより深く知ることでロールモデルが見つかる、様々な働く環境や人に出会うことでキャリアの選択肢が広がる。
これらのメリットから、オフラインでのコミュニケーションが最適であると判断し、今回の開催に至ったのだと思います。実際に、セッションや懇親会で多くの方とご挨拶させていただきましたが、オンラインでの関係性とは明らかに違うものを感じたことも事実です。
Inside Sales Summitの特徴
まず感じたことは「短期的な営利目的ではない」という点です。今回の参加によってSALES ROBOTICS社から営業メールが来ることもありませんでしたし、当日に自社のサービス説明をする場面もほぼありませんでした。資料が配布されることも無ければ、営業担当やインサイドセールスが会場で挨拶まわりをしている素振りもありませんでした。
とにかく参加者に楽しんでもらおう、学んでもらおう、つながってもらおうという意識が細部まで浸透していたように思います。それはそういった立ち回りだけではなく、セッション内容にも現れていました。
スタートのセッションは「インサイドセールス2.0時代 〜インサイドセールスに求められる変化と役割とは〜」というテーマです。通常のセッションであれば「ここまで成果が出てきた」「インサイドセールスは時代に合っている」「成長のドライバー」という内容から始まることが多いと個人的に感じていますが、ここでは「インサイドセールスが受注につながらない」という話からスタートしていました。
これが参加者目線でのセッション設計だと思います。オフラインにわざわざ参加しているインサイドセールスは、耳触りの良い成果を聞きたいのではありません。さらに自分たちの事業を伸ばすためには、介在価値を発揮し市場価値を上げるためには何が必要か、という意識で参加しています。ですから、いきなり厳しい言葉からスタートしたセッションでしたが、むしろこの一言で参加者の熱がグッと高まったのを感じました。
次に印象的だった言葉が「7-8割の企業ではインサイドセールスがアポ取りになっている」という登壇者の実体験の共有でした。この部分も同様に「インサイドセールスはアポ取り部隊ではない」「それは古い体質の企業」など、先進的であるというトークが展開されることも少なくありませんが、決して現実から目を背けずに直視し、正面から「なぜそうなるのか、原因は?対策は?」という議論が展開されていくこともオフラインならではの空気感だと感じました。
オンラインではどうしても議論の盛り上がりに欠けてしまいます。それは登壇者側からみて参加の表情や盛り上がりがわかりにくい点、そして参加者側からみて議論に入りにくい点などがあげられます。一方で本イベントのように、熱量を持った参加者が集まり、極めて現実的な議論をすることでまた熱が大きくなる。これがこれからのオフラインイベントに求められることなのかもしれません。
短期的な営利を目的に集客し、サービス紹介やベンダーサイドの営業に注力しているイベントは回数を重ねるうちに集客力が低下し、より熱量の高いイベントに人が流れていくようになる、そんな未来が見えたセッションでした。そして、これこそがInside Sales Summitの価値であり、特徴であると感じました。
※セッション詳細はこちらです。
セッションの最後に質疑応答の時間が取られていて、いくつかの質問が上がっていました。この質問もとても具体的で、きっと本記事をご覧いただいているインサイドセールスの皆さんにも有用なものだと思いますので、ぜひ詳細をご覧いただければと思います。
オフラインイベントでの注意点と課題
第二セッション「今、考えるべきインサイドセールス成功と失敗の変遷」も素晴らしい内容でした。コニカミノルタジャパン様、マクニカ様、ベルフェイス様からそれぞれ詳細な事例をご紹介いただき、私自身多くの学びとこれからへのヒントをもらえた気がします。
一方で、学びの量、大きさに対して引き込まれる感覚が弱かったように感じます。それがなぜなのかを考えるために、いくつかのポイントにわけてみます。
・3社がそれぞれ別々のテーマ、ナレッジを持ち寄ったこと
・業種業態、事業フェーズなど関連性が少なかったこと
・解説の時間が多く、議論の時間が少なかったこと
1つ目はテーマです。各社ともに先進的な事例ではあったのですが、共通するテーマのようなものが少なかったように感じます。個人的に意訳していくと、コニカミノルタ様は全体最適や生産性について。また、それらとお客様視点は相関するという内容。ベルフェイス様は経営危機からの脱却とのその変遷、その中でインサイドセールスはどう変わったいったのかという内容。マクニカ様は企業内での立ち上げにおける分断や壁、そしてオペレーションの見えない課題などをご紹介してくださったように認識しています。
もちろんこれだけ多くのことを学べるのはもちろん素晴らしいことなのですが、受け手側からするとすべてを咀嚼して理解するのが難しい。そして、深く考えていく前に通り過ぎていってしまうという感覚ではないでしょうか。難易度の高い問題ではあるのですが、これからのイベント運営を熱量で測る場合、共通するテーマ設定が良いのではと感じました。
2つ目は各社のシチュエーションです。事業規模や現状に共通点が少なく、それが1つ目と同じようにオーディエンスの理解浸透のハードルになってしまったように感じます。
3つ目はここまでの2つが主な原因となって発生したものだと思うのですが、やはりここまで状況が違うと議論することがなかなか難しいと思います。それぞれが各社から学びを得ている一方で、前提条件が違うため意見しにくかったのではないかと推察します。もちろん、お互いを詳細に理解していて、関係性が深い間柄であれば提示されていない情報なども加味して議論をすることが可能かと思いますが、それは稀有なパターンだと思います。
本項の冒頭でお伝えしましたが、内容は本当に素晴らしいものでした。本記事はその素晴らしさをお伝えするのが目的ではなく、オフラインイベントの是非とその成功ポイントを明らかにすることを目的としていますので、何卒ご理解ください。
懇親会での熱量はセッションと比例する
実際に参加していて感じたことなのですが、都内以外から参加された方もいて、初めて顔を合わせた方が多かったにも関わらずとても盛り上がっているように見えました。注意して会話に耳を傾けると「あの内容はどう思いましたか?」「うちは◯◯なのですがそちらはいかがですか?」「今後◯◯をお願いしたいのですが可能でしょうか?」といった会話がとても多く聞かれました。
これまでの懇親会はどちらかというと「同窓会」まではいかないですが、元々仲間や友達であった人と再会するというイメージでした。しかし、本イベントにおいてはそういった熱よりも、今日学んだことに興奮している、その会話がしたい、明日から試してみたいという熱が高かったように思います。
この点においても、これからのオフラインイベントの成功するためのポイントが隠されていたような気がします。これまでは著名人を呼び、関係性の深い方を呼び、熱を伝播させることでコミュニティが成立していた。しかしこれからはいかにして新しい熱を発生させるのかが重要であり、そのためにはより良いセッションを提供すること。それによって参加者同士が結びつくことでオフラインイベントの価値が創造されていくのだと思います。
ただ一方で、ウェブセミナーとは違い、時間をかけて参加している分、もしセッションに対する満足度が低い、懇親会で意図する意見交換ができなかった、横とのつながりを構築できなかったとなればその方が次回参加する可能性は極めて低いと考えます。それを防止するため、だけではないと思いますが、Inside Sales Summitではセッション中からアルコールなど飲み物の提供、会話の拠点となるようなハイテーブルの設置、状況を見ながらスタッフの方々が椅子の設置と撤去などを繰り替えしていたのが印象的でした。
まとめ
今回はSALES ROBOTICS社主催、Inside Sales Summitの参加レポートを詳細の説明ではなく、別の視点からの考察として執筆しましたが、主催の皆さんのイベントに対する熱量と、中長期目線での”目的の達成”への意識の高さが印象的なイベントでした。
本記事を通して、これからオフラインイベントを企画、実行していくインサイドセールス、ならびにマーケティングや経営層の方々向けに発信していますが、もし興味を持ってくださった方は実際に参加することを強くおすすめします。記事の中でも繰り返し”熱量”というキーワードを使用していますが、それは文字や写真や動画だけでは伝えることが難しいモノだと考えています。
ですからぜひ一度実際に足を運んでいただき、深く参加することでその意味と価値を感じていただきたいと思います。今後の情報発信はこちらのTwitterアカウントから行われるそうなので、気になる方はフォローして続報をお待ちください。最後までお読みいただきありがとうございました。
※本記事はSALES ROBOTICS社に事前確認、写真の提供、掲載の許諾を得た上で作成、公開しております。