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インサイドセールスはプロダクト開発に携わることができるのか

江口 卓磨 | Rockets2024/3/20
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本記事では、インサイドセールス業務の経験を、プロダクト開発に活かすというスタートアップならでは観点から、そのポイントをご紹介しています。私はこれまで、営業支援会社と事業会社、そしてインサイドセールス効率化のプロダクトを提供する企業という全く違う立場でインサイドセールスを経験してきました。この記事が皆様のキャリア、としてプロダクトの進化に役立てば幸いです。

江口 卓磨 Rockets所属。新卒でニッポンハムグループに入社、小売・飲食事業向けに新規開拓営業に従事。その後外資系製薬企業に転職しMRとして医療機関向けの営業を経験。その後、営業支援会社において、BtoB×SaaS企業を中心に30社以上の新規開拓営業や、インサイドセールスの組織構築を支援し、現在RocketsにてLEADPADのインサイドセールスとして従事。

テレアポとインサイドセールスは大きく違う

引用:https://product-senses.mazrica.com/senseslab/sales/insidesales-and-teleapo


前職に入社するまで分からなかったのですが、インサイドセールスとテレアポは全く違うという事です。基本的な事にはなりますが、テレアポはとにかく量、アプローチ数やアポイントの数が求められます。捉え方は様々ありますが、アプローチ数が膨大になるので商材の認知拡大には一定の効果があり、立ち上げ初期は特に効果的ですし、マーケティングが拡大してもアウトバウンドを続ける意味はあると考えています。

 

一方で、雑な架電や一斉送信などのアプローチだけが増えても効果は薄く、企業イメージを損なうことも少なくありません。それを両立させ、最終的な成果まで考えたときにもっとも効果的になるアクションをする、それがインサイドセールスの役割です。

 

具体的には、自社のターゲットとなる方(人)や企業からの受注や、継続的な契約から逆算した、有効商談(戦略やフェーズによっては商談数を追うこともある)を創出して営業組織全体の生産性向上を求めるというものです。

 

また、特にお客様と最初の接点となるインサイドセールスは、この後のお客様の購買体験を大きく左右する重要な役割を担っているということを強く認識するべきです。それは、事業規模の拡大によって、レピュテーションリスクが高まり、マーケティングや受注にも悪影響を及ぼす可能性があるからです。

 

これまで私は、営業支援会社と事業会社で働いてきましたが、大切にすべきことは共通しているように感じています。立場はもちろん、業務内容が全く異なった両者の業務ですが、突き詰めたところ共通して大事なポイントは2つあると感じました。


 

1.継続的に会話ができる信頼関係を構築する事


難易度が高く、私自身も今後改善を繰り返していく必要がありますが、これが1番重要だと感じます。継続して単に電話やメールのアプローチ数を増やす事ではなく、お電話に出ていただく、メールを開封・クリックしていただける、返信していただける関係性を築く事です。「この人からの情報は受け取っておこう」という信頼を獲得する活動を設計し、実行しなければなりません。

 

アウトバウンドに限定していえば、大部分が自社商材に興味のない・サービスを知らないお客様ですし、インバウンドであってもニーズの顕在化したお客様ばかりではありません。まず実行すべきは、営業対象となるデータやリードからのターゲティング(リストの作成)です。

 

例)

受注分析からターゲット(企業・キーパーソン)リストを作成する

営業戦略からターゲット(企業・キーパーソン)リストを作成する

事業戦略からターゲット(企業・キーパーソン)リストを作成する

 

次に、特定の部署・役職・役割のキーパーソン(人)の特定とその方に合わせたタッチポイントの設計、コールにおいてのトーク展開、メールのコンテンツ設計を検討します。

 

例)

BDRの場合

・営業部門と連携し、パワーチャート(組織図にキーパーソン情報を加えたもの)を作成する

・すでに導入済みの既存顧客を参考に有効なマーケティング施策を検討する

・市場動向、異動情報を参考にキーパーソンを仮定する

・実際のアプローチ手法(CxOレター、コールドコール、顧問の活用など)を検討する

 

SDRの場合

・企業単位ではなく、企業規模や業界単位で仮説と対象を検討する

・アプローチ時のオペレーションを設計する(過去履歴の確認方法とそのからのアプローチ方法など)

・役職や役割ごとに課題、訴求点、事例を整理しておく

・複数のメールテンプレートを準備し、生産性と1to1アプローチを実現させる

 

ここまでの設計をしてはじめて「お客様がどの状態になったら(どんな事実を確認できたら)、有効商談化するか」という議論に入ります。この順序が崩れると結局は量だけで解決することになり、重要視すべき“信頼”を既存することになりますし、ターゲティングや設計が甘いとシンプルに転換率もわるく、非生産的です。

 

 

2.顧客の市場、環境、業務などの解像度を上げる事

 

実際に解像度を上げる方法として以下のステップを推奨しています。


1.自社のプロダクトを正しく理解する

2.お客様の業界、業種の特性を理解する(該当する事例を見つけ、内容を理解する

3.お客様個人の業務、目標を理解する(該当する事例を見つけ、担当者にヒアリングする

 

一見、よく内容に映ると思いますが、私自身どれも詰めが甘かったと感じています。まずは1ですが、「営業担当と同じレベルで理解できているか」「お客様に提案することが可能か」と問われると自信がない方もいるのではないでしょうか。もちろん、完全に同等レベルは難しい場合もある思いますが、お客様の質問、疑問にはすぐに回答できるレベルが必要だったと当時を振り替えて反省しています。

 

次にポイントになるのは、3のお客様個人の業務、目標を理解する(該当する事例を見つけ、担当者にヒアリングする)です。どうしても法人同士の話になってしまいやすいB2B商材においては、目の前の方への興味、そして訴求は軽視されがちです。


例えば、「今日あなたが担当した方で商談獲得に至らなかった方のKPIは何ですか?」と聞かれて答えられるでしょうか。もし回答できないなら、もしかすると目の前の方への興味や理解が足りていないのかもしれません。

 

お客様自身が課題を明確に認識していない場合も多々あると思います。そういったインサイドセールス業務においては、まずは事前の準備を徹底し、信頼を勝ち得ることによって、お客様と課題を一緒に考えていく方法が裁量であると考えています。

 

この流れを実践していくことで、アプローチの際に一方的な営業トークを展開することはなくなり、もし商談獲得に至らなかったとしても、架電NGやオプトアウト(メルマガの配信解除)になる確率が減少していきます。

 

つまり、いつかタイミングがきた際に商談につながる可能性が残るのです。また、私自身の展望としては、自社の商材以外でお客様に相談を受けるようなインサイドセールスになる事が理想です。

 

 

自身が積み上げてきた経験をどうプロダクト開発、事業開発に活かすか

 

LEADPADで最近リリースした機能のうち、インサイドセールスチームからのフィードバックが反映されたものは以下の3つです。


・CRMとの連携強化(自動マージとデータ付与、クレンジング等)

・リードにおけるフェーズ管理機能の実装

・レポート・ダッシュボードの強化

 

その中でとくに強く自身のフィードバックがプロダクトに反映されたのは2の“リードにおけるフェーズ管理機能の実装“です。


有効商談の作成数をKGI(ゴールの指標)とした場合、そこに至るまでに本来であればいくつかのステップを重ねますが、多くの場合でそれはインサイドセールス個人によって感覚的に管理されています。

 

そこで、実際のステップに沿って管理できるように“リードのフェーズ管理”を実装し、属人的な管理から脱却することで漏れや遅れを防ぎ、生産性を向上させることが可能になりました。

 

このように、自身の経験をお客様の体験や経験と重ね、構造的に理解し、機能要件を定義することができれば、それをプロダクト開発に活かすことができます。難しく書きましたが、簡単に言語化すると以下の通りです。

 

・業務プロセスを常に疑い、最良の方法を考える(普段から改善提案を行う

・誰でもできる方法、続けられる方法を考える(普段からメンバーの支援を行う

・実際の改善イメージにそって考える(普段からプロダクト開発部門と接点を持つ

 

インサイドセールスは情報にあふれていて、かつお客様との接点も多く、社内外へ提供できる経験が豊富です。ですから、ただ日々の業務に向き合うだけではなく、もっと“欲張る”ことで自身のキャリアにつなげることができると考えています。

 


LEADPADのリードのフェーズ管理でなにが変わったのか

 

これまでは、日次や週次でアプローチ数と商談作成数、接触率などの各転換率を共有していましたが、数字は見えても改善する方法がわからないという状況でした。しかし、リードのフェーズ管理を取り入れてから、04以降(双方で課題に合意できている)お客様の数を増やしていくことを目的とすること、つまり04商談をKPI化することで、短期の商談作成数だけを求めて無理商談を取りに行くのではなく、信頼関係を構築するマインドに変わっていきました。

 

その結果、徐々にではありますが成果に改善が見られるようになりましたが、将来の受注見込みの高い"04商談が計測できるようになった"ことで、長期的かつ精度の高い売上予測が立てられるようになったことは事業への影響も大きいと考えています。

 


インサイドセールスがプロダクト開発に携わる必要性について

 

LEADPADは、プロダクトを使う方が私と同じインサイドセールスの方なので、通常に比べて特殊であると思います。自身で活用して出た課題や、オペレーションを具体的にイメージしながら、「どう組み込んでいただけるか」を元に仮説立てて、お客様と一緒に考えることも私自身のミッションに組み込まれていますし、活用支援でも同様にお客様と同じ目線で思考することができます。

 

しかし、前述したように以下の点はどんなインサイドセールスでも実践可能な内容だと思います。

 

[再掲]

・業務プロセスを常に疑い、最良の方法を考える(普段から改善提案を行う)

・誰でもできる方法、続けられる方法を考える(普段からメンバーの支援を行う)

・実際の改善イメージにそって考える(普段からプロダクト開発部門と接点を持つ)

 

インサイドセールスチームがマーケティングチームと協力しながら、施策を実施する、コンテンツを考えていく。この流れは様々な組織で実践されていることと思います。しかし、それだけではなく、お客様の課題感や、リアルな体験を最善線で知ることのできるインサイドセールスは、プロダクトやサービス作りにもっと踏み込むことが可能です。

 

例)

・お客様の業務を知るだけなく変化を共有する

・競合の最新情報を共有する

・機能だけではなく、不足している支援やサポートプランを起案する

 

上記をインサイドセールスチームが補完してくれたらどうでしょうか?きっと皆さんのプロダクトやサービスは良い方向に動くのではないでしょうか。そして、それを起案したインサイドセールスのモチベーションアップや、サービス開発に携わったキャリアの可能性は大きく広がるのではないでしょうか。

 

分業モデルの場合、どうしても業務範囲に線があるような気がしてしまうと思います。しかし、線を引いているのはもしかしたらインサイドセールス自身なのかもしれません。少なくとも昔の私はそうでした。

 

ぜひ今日から、もっと事業に積極的に提案をしていくインサイドセールスになってみませんか?(私もまだまだなのでぜひ一緒に取り組んでいけたら嬉しいです。)

 

 

今後の展望

 

上記を元にした今後の展望としては、インサイドセールスがお客様の理解を深めた上で、より信頼関係を構築する事ができる、そんなプロダクトにしていきたいと思います。そしてその起案をもっとして行きたいと思います。

 

ぜひこの辺りはインサイドセールスの皆様の知見をいただきながらアップデートしていきたいと思いますので、LEADPADに限らず、「もっとこんな製品やサービス、機能があれば良いのに」というものがあれば、ぜひご連絡をいただけると嬉しいです。

 

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。


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