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継続して成果を出すアクションプランの作り方【前編】

玉置 博記 | Legacy'll2023/11/17
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本記事はSDR(主にインバウンドを対応するインサイドセールス)が達成に向けた月次のアクションプランを立てる際に注意すべきポイントをまとめたものです。SDRとしてインサイドセールスをスタートしたばかりの方や、成果が伸び悩んでいる方、具体的には毎月コンスタントに達成し続けたい方にぜひお読みいただきたいです。

玉置 博記 株式会社Legacy'll 代表取締役。株式会社セールスフォース・ドットコム(当時)にSDRとして中途入社。当時最速記録での昇進と社長賞を受賞。外勤営業を経て、関西支社インサイドセールスチームの責任者を3年間従事。NewsPicks Learningにて「インサイドセールス入門」に出演。2023年2月より株式会社Legacy'llを創業し、インサイドセールスの立ち上げ/組織強化支援を専門領域として事業を展開中。

なぜアクションプランが必要か


SDRは新規リード数(マーケティング活動によって獲得した問い合わせ数)によって成果が大きく左右されがちです。ただ、当月の新規リード数は正確な数が読めない、いわば「水物」であり、それに頼った「積み上げ」のアクションでは安定した成果を数ヶ月に渡って出し続けるのは難しいと言えます。そのために、毎月月初にアクションプランを計画し、「仮説→実行→検証→仕組み化」のサイクルを構築する必要があります。この行動によって、自分自身の「実現可能な値」を知ることができ、気合いではなく現実値としてフォーキャスト(着地予想)を組み立てることができます。

かの有名なピーター・ドラッカーも『アクションプランなくしては、すべてが成り行き任せとなる。途中でアクションプランをチェックすることなくしては、成り行きの中で意味のあるものとないものとを見分けることすらできなくなる。』と述べているくらい、アクションプランは大切なものです。

SDRがアクションプランを立てる際のポイント


実践してほしいポイントは以下4点です。

①ファネルで週次目標まで落とし込む
②ベンチマークするライバルの数字を把握する
③毎日必ず数値を入れ、差分を明確にする
④今月のチャレンジポイントを明確する

ポイント①ファネルで週次目標まで落とし込む

逆三角形のファネルに「保有リード数」「架電数」「通電数」「アポ数」「有効商談数」「受注数」の順に数値を落とし込みましょう。稼働し初めの際は、架電数~受注数までのCVR(コンバージョンレート=転換率)は全社平均の数値でOKです。

出典:デジタルを活用して組織を構築--分業できる体制、成功を再現できる仕組みが重要(セールスフォース・ジャパン 鈴木淳一氏)


受注数以外は月間の数字であるため、これを週次に落としていきます。ここで注意してほしいポイントは「営業日換算して単純に落とし込まない」ということです。月末最終週まで当月のアポを追いかけるのは健全とはいえません。いわゆる「月末押し込み型」となってしまい、フィールドセールス側にも「お願い」をせざるを得ない状況を作ってしまいがちです。

理想は「毎月15日まで」に当月の仕込みを終え、月後半は次月の仕込みに移ることです。そのため、1週目・2週目に活動の比重を置いてください。例えば月間の架電数目標が500件だった場合、1~2週目は150件ずつ(平均30件/日)、3~4週目は100件ずつ(平均20件/日)のようなイメージです。そして1~2週目では自身の保有リードでも中長期のナーチャリング対象となっているリードの精査や失注掘り起こしに注力し、接点を保ちつつアポイント獲得を狙います。3~4週目は当月の新規リードへ、個別メール送付や仮説構築など準備時間をしっかりかけて活動量を絞る分、確実な商談獲得を狙います。

リード種別は大きく「当月新規リード」「過去6ヶ月以内の新規リード」「6ヶ月以上経過した過去リード」「失注掘り起こし」の4つに区分されます。この4つをそれぞれ「2:3:3:2」くらいのバランスでアポイントを構成するのが理想です。

新規リードは温度感も高いですが件数が読めないので大きな期待はしない(あくまでバッファー扱い)、過去に流入したリードの掘り起こしは温度感は低いですが、定期接触することで顧客理解と関係性を深めることができるため受注に貢献しやすいです。

このように、全社CVRから理論値ベースで目標数値を定め、リードソース別に細分化して週次目標へ落とし込むことが最初のステップです。

ポイント②ベンチマークするライバルの数字を把握する


次は自分自身の実力値を把握するために、ライバルの数値を把握して、ロードマップを作りましょう。ここでベンチマークするライバルは現場経験が半年以上先の先輩社員が理想です。同期やデビューが近いメンバーだと、SDRとしての活動が成果(=受注)に繋がっているかが見えにくいためです。

毎月の架電数・通電数・アポイント数・有効商談数の4つは必須です。特にアポイント数に関しては、ポイント①で触れた「当月新規リード」「過去6ヶ月以内の新規リード」「6ヶ月以上経過した過去リード」「失注掘り起こし」の4つの割合も把握しておくことをオススメします。

加えて、可能であれば突出した数値がないか、も確認しておくことをおすすめします。例えば「無料トライアルの問い合わせから商談獲得率が高い」や「商談作成から受注までの日数が極端に短い」など、平均と比較した際に特徴的な部分が見つかることがあります。それは偶然そうなっている場合もありますが、工夫してその数値になっていることもあります。

「なぜ成果に差が出るのか?」を考えることで自身の成果を客観視することができ、「その成果を残すためにどんな準備をしていたか?」を聞くことでチャレンジポイントが見つかります。先輩社員は次のロールにキャリアアップしていることも多いので、自チーム内に閉じずにヒントを求めにいくことは、営業としてとても大切な姿勢です。

ここまでがアクションプランを立てるために必要なポイントです。後編では、実際に立てたプランを実行し、成果につなげるために必要なチャレンジを解説していきますが、その前に前編をしっかり振り返っていただき、いまの自分の差異や課題のポイントを明確にしましょう。そしてその振り返りが終わり次第、後編へ読み進めていただきたいと思います。

まとめ


・SDRは新規リード数によって成果が大きく左右される
・毎月月初にアクションプランを計画し「仮説→実行→検証→仕組み化」のサイクルを構築する必要がある
営業日換算して単純に落とし込まない
1週目・2週目に活動の比重を置く
・現場経験が半年以上先の先輩社員をベンチマークする
・突出した数値から特徴をつかむ

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後編はこちら

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