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リスト枯渇を防ぎ、アウトバウンドで有効商談を作り続けるコツ

前田 健太 | RECERO2025/2/3
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こんにちは!セルメイトの前田です!インサイドセールス代行、セルメイトはSaaS・IT・人材サービスの企業様を中心に、多数のインサイドセールスの支援をしております。皆さんはアウトバウンド(=BDR)を行った際、獲得しやすい顧客を取り切ってしまい、『リスト枯渇』が枯渇してしまった、商談・有効商談獲得率が低下してしまった、という悩みに直面したことがあるのではないでしょうか?そこで今回は、”限られたターゲットリストからの有効商談を獲得し続けるコツ”というテーマで書こうと思います。

前田 健太 RECERO株式会社所属。人材派遣会社での営業、クラウド型CTIを提供する会社でのインサイドセールス組織の立ち上げや営業、カスタマーサポートなど幅広い業務経験を経てRECERO株式会社に入社。インサイドセールス代行サービス「セルメイト」のマーケティング/インサイドセールス/プロジェクトマネジメントまでを担当。

アウトバウンドで直面するリスト枯渇問題


アウトバウンドで直面する問題

アウトバウンドで新規開拓を行っている際に、『リスト枯渇』に直面したことが一度はあるのではないでしょうか?新しいリストに架電をして一時的に商談獲得率を高められたと思ったら、次第にアプローチできるリストがなくなり、次のリストを準備せざるを得ない状況に。

新しいリストの準備ができれば一時的に商談数を増加でき、受注率向上できるかもしれません。しかし、ターゲットリストは有限であることが多く、アプローチリストが枯渇してしまえば、次第に商談獲得率が低下してしまいます。その結果、受注率も下がり事業成長に歯止めがかかってしまうでしょう。

アウトバウンドに関わらず、インバウンド(=SDR)についても同様に『リスト枯渇』は定期的に起こり得る問題だと思います。ですので、いかにターゲットリストを枯らさずに、商談化(有効商談化)できる案件を増やせるかが事業成長をさせるために重要となります。

リスト枯渇が起きる要因

リスト枯渇が起きる要因は、大きく2つあると考えています。

①”線”ではなく、”点”でのコミュニケーションをとっている

1つ目は、”点”でのコミュニケーションを行っていることです。
具体的には、1リストに対して1-2回架電して、商談化できたのか・できなかったのかを判断してコミュニケーションを完了してしまい、獲得しやすいリスト(顕在層)から一通り商談を獲得し尽くした段階で、新しいリストに移ってしまうケースです。

そのような”点”でのコミュニケーションを行うと、ターゲットリストが有限な場合(多くの場合有限ですが)、リストが枯渇してしまう要因となります。

②目先の商談化数のみを指標としている

2つ目は、目先の商談化数のみを指標としている点です。①にも通じる部分ですが、一度通電して、商談化できたか・できなかったかなど、商談化のみを指標としてしまう場合、一時的に獲得数を向上させることは可能です。
しかし、潜在的なニーズはあるが、その瞬間に検討していなければそれ以上は追わないという判断になってしまうので、自社サービス導入の余地があるリストを捨ててしまうことになります。

アウトバウンド施策で「リスト枯渇を防ぎ、商談を生み出し続ける」3つの解決策


では、これらの課題を解消するための解決策を試行錯誤してきましたが、その中で意識すべき3つのことにたどり着きました。それぞれを詳しく解説していきます。

①シナリオやスコアを元にした綿密な設計(点ではなく線で設計する)
1つ目は、 ”点”ではなく、”線”での設計を行うということです。[前段1.要因①]で述べたように、”点”でのコミュニケーションを行ってしまうと、リストを有効活用しながら、商談数を生み出し続けることは難しいです。

とくにアウトバウンドや、ホワイトペーパー、展示会での獲得などのインバウンドリードの場合、自社サービスを認知していないケースも多く、一度の架電で商談化できるケースはそこまで多くありません。

そのため、リード獲得〜認知〜興味喚起〜課題合意をするまでに複数回アプローチを行い、”線”でのナーチャリング設計、コミュニケーションを図ることが重要となります。(下記、イメージ図参照)


上記のように”線”でのアプローチを行うことで、顧客の温度感を高めながら、商談化することができます。その結果、リスト枯渇を防ぎつつ、有効商談獲得率も向上させることができます。

このようなアプローチ手法を弊社では、”アウトバウンドナーチャリング”と読んでおり、詳細はこちらの記事に記載しておりますので、気になる方はぜひご覧ください。

②設計に合わせたナーチャリング施策
2つ目は、一度通電できた案件については、把握できたBANT情報を元に、スコアリング(ランク付け)を行い、顧客フェーズに合わせたナーチャリングを行うことです。

具体的には、スコアリングした各ランクごとの追客シナリオを作成し、各ランクに合わせた訴求を行います。そうすることで、リード獲得〜認知、認知〜興味喚起、興味喚起〜課題合意など、段階的に顧客を育成することで、潜在層リストからの獲得数も最大化することができます。

スコアリング〜追客シナリオについてはこちらをご覧ください。

③リードを増やす、アップデートするカバレッジを意識
3つ目は、「カバレッジ」を引き上げることを意識すると良いと思います。

カバレッジとは、カバーしている割合(=網羅率)のことです。つまり、単なる商談化率、を意識するのではなく、ターゲットリストでのカバレッジを引き上げることを意識して戦略を立てることで、長期的な関係構築(将来的な商談機会の獲得)を実現することが可能になります。

具体的には、ターゲットリストからのカバレッジを引き上げるために、商談化までのステップを細分化し、リードのアップデート数を把握していきます。

例えば、キーマン特定数(=リード獲得数)、キーマン接触済み(認知、状況把握)、見込み(課題認識あり)など、上位項目へのリードアップデート数が日々増加できているのかを確認することで、商談獲得以外の進捗を評価することができます。

また、遷移率が低いフェーズについて、訴求方法を考え直すなどの打ち手が打てるようになるので、「数字が足りないから架電量を増やす」といった短期施策から脱却することが可能です。

特にアウトバウンドでは、一度の訴求で商談化できる顕在層リードを除き、リード獲得〜商談化まで一回の架電で獲得できるリストはそこまで多くありません。
ですので、ターゲットリストからのカバレッジを引き上げていくことが、継続的な事業成長には必要不可欠なのです。

24ヶ月有効商談を獲得した事例


ここからは、弊社プロジェクトで行った、「カバレッジ」を引き上げることを意識して、ターゲット2000リストから24ヶ月有効商談数を減らすことなく獲得し続けている実例を解説していきます。

施策概要
今回は、大手企業向けのSaaS商材で、アウトバウンド施策による、新規顧客開拓を行った事例です。

■行った背景
プロダクトリリース後、リファラル(顧客からの紹介)で商談数を担保していましたが、事業成長を加速させるための打ち手が必要でした。そこで選択されたのが、アウトバウンドによる能動的なアプローチです。


■行った内容
カバレッジを引き上げるために行った内容は以下となります。

①各セグメントごとにターゲットリストを作成し、スコアリング定義、追客シナリオを固める
まずは、スコアリング定義を仮決めして、最初の1-3ヶ月ほどで、顕在層の商談獲得及び、潜在層に対しては、ファーストステップとして、リード獲得(問い合わせ窓口の方のお名前と連絡先、継続的な情報提供の許可を得ること)を行いました。

そして、初期の段階で実施した商談の定性情報及び、FS(=フィールドセールス)からのフィードバックをもとに各セグメントごとのスコアリングの定義・追客シナリオを固めていきました。
また、今回はプロダクトリリース直後であったため、お客様との接点をとにかく増やし、プロダクト開発に役立てたいという事業開発・FS側からの声がありました。

そこで、予算・時期がまだ明確ではないリードに対しても商談獲得対象とするスコアリング設計を行いました。
この段階のポイントは、[2.①]で解説したように、”線”でのコミュニケーションを設計することです。
顕在層でニーズや課題合意がすぐにできるリードに対しては商談化を行うことはもちろんのこと、潜在層でまだ認知や課題意識がないお客様に対しては、まずはリード獲得を行い、未来の数字を作るためにリード獲得数を増やしていく設計を行いました。

②スコアリング定義・追客シナリオが固まった段階で、カバレッジを引き上げることを重要KPIとして設定
対象アプローチ先に対して、下記3項目を日次で管理、週次で可視化を行い戦略の練り直しを行っていきました。今回は、大手企業開拓であったため、週次ベースで戦略会議を実施。

具体的には、リードを[1]→[2]→[3]に段階に分けて、ターゲットリストに対しての「カバレッジ」を引き上げていくことに注力していきました。
[1] ホワイトリスト→キーマン特定
[2] キーマン接触→リード獲得
[3] リード獲得→アポイント

以下、実際に活用していたアプローチカバレッジ表です。



実際の数値を見ながら、動きが鈍いフェーズに対して訴求するポイントを変えてみたり、個社ごとに突破口を模索、紹介する事例を変えるなどしてトークをブラッシュアップすることで、各フェーズの段階をアップデートしていきます。
具体的例を以下でご紹介します。

[1] 複数回アプローチを行ってもキーマン接触ができない場合
直接本部(本社)への架電を行うのではなく、各店舗(支店)へのアプローチを行ってキーマンを特定する迂回経路を作ったり、架電する部署を変えるなどして、キーマン接触にチャレンジします。
実際に、店舗が複数ある場合は、各店舗の店長や従業員に聞くことで本部のキーマンを特定できるケースがありました。

[2] 接触はできたが、ニーズを顕在化できない
直近で話題になっているニュースを活用して、取り組みを行わないことでの弊害や、各セグメントごとにクリティカルな訴求を模索することが効果的です。
例えば、飲食系であれば「HACCAPの義務化」やアパレル業界向けであれば、「受発注の進捗管理・在庫管理の可視化」など業界で重要視されるワードを盛り込むといった方法です。業界にあったキーワードを選定し、準備するための時間が必要にはなりますが、個社毎に準備するよりは圧倒的に効率的です。

■結果
2,000社のターゲットリストから、ターゲットリストを枯らさずに、24ヶ月継続して安定的に有効商談を獲得し続けています。また、現在も進行中であり、継続的な商談獲得が見込まれています。

1年目

2年目

まとめ


いかがでしたでしょうか、ターゲットリストが限られている中、リスト枯渇を防ぎ、有効商談を獲得し続けるためには、ターゲットリストからの「カバレッジ」を意識することが重要です。

そのために、”線”でのコミュニケーションを意識することや、商談獲得までに至るまでの各フェーズのアップデート数を意識することで、有効商談を獲得し続けることが可能となります。

最後に少しPRをさせてください。セルメイトではBtoBサービスにおけるリード獲得から商談獲得までのインサイドセールスのご支援をしております。BDR施策の戦略策定〜実行〜『売り型』作り〜内製化及び、展示会、ウェビナーなどのインサイドセールス(SDR)領域までトータルで支援しています。

ご興味ございましたら、こちらからお気軽にお問い合わせください。貴社のご状況を伺った上で、どれくらいの事業インパクトが出せそうかや、費用対効果や支援戦略等をお伝えさせていただきます。

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